お狐幼女になった僕が、神社再建をした話④
「ニャンだって?お前、猫娘でなくて、落ち武者でただのおっさんかよ。興奮して損したぜ」
僕は顔を下に向き肩を落とした。やっぱり人生上手くいかないみたいだ。ていうかニャンってうつったぞ。
「そんニャンこと言われたら照れるニャン。それじゃさっきの続きやるニャン?」
猫娘はほっぺに手を当てて、顔を赤くしている。猫の手を僕の方に近づけてきた。
それを見た僕は一歩引いて、
「ドンタッチミー!!結構です。もう近寄らないでください。このおっさんが」
そう毒を吐き、猫娘の手を弾いた。
「酷いニャン。私、涙が出ちゃうニャン」
猫娘は僕が弾いた手をスリスリしてから、その手で目尻を当てている。
だけど、チラチラと僕を見ていたので、嘘泣きだとすぐにわかった。
「それより、猫太郎、一体何のようじゃ」
小狐が猫娘に向かって言った。
猫娘は腕組みをしながら、ため息を吐いた。
「うーん。その名前は言ってほしくないニャン。ニャン子って言って欲しいニャン」
「ニャン子か……。まあよい、何しにここに来たんじゃ?」
ニヤリ顔を見せた猫娘は、
「ここに滝を作って欲しいニャン。水遊びがしたいニャン」
と鼻からでる息が声と一緒に聞こえてきた。両手を握り、上目遣いな目線で、どこかしら気分が上がってる感じだった。
だけど、滝ってここの神社の雰囲気には合うのだろうか?うーん。場違いな気がしてならない。
僕は猫娘を見つめていると、猫娘が気づいて僕の方向に身体を向けた。
「なあ、あんたも欲しいニャンだろ。滝。ここを癒しの場とするんだよ。可愛い子もいっぱい集まってくるニャンよ」
それを聞いた僕は、無意識に親指をあげてグーサインを出していた。
「ダメじゃ。不純じゃ、不純。まして滝なんぞこの神社に合わんじゃろう」
小狐は左手で頭を押さえ、ため息を吐いた。
やっぱりダメか……。だけど、僕らでお願いすればなんとか。
「ダメなら仕方ないニャン。次を考えるニャン」
「え、諦めるの早くない。滝だよ。ねえ癒しの場を作るんじゃないの?」
僕は猫娘を引き止めようとしたが、
「そう言われたら無理だニャン。ここの主の事は絶対だニャン。それだったら自分の屋敷に作ってもらうニャン」
舌をペロッと出しながら、手の甲で頭をかいた。次第に身体を伸ばし、手を振りながら、
「グッバイニャーン」
そう言って、この場から居なくなった。
まるで台風みたいなやつだ。
「……ちなみに温泉、いや滝は無理ですかい?」
少し間を置いて、僕は子狐に言った。
首を横に振りながら、
「ダメじゃ、不純なのはいけないのじゃ」
僕は肩を落とした。だけど、
「まあいいや。ふふふ」
笑みを自然と浮かべていた。他を考えたらいいしな。
そんな中、子狐の視線がじっと感じた。
「気持ち悪いやつじゃの……」
そんな視線を感じながらも、僕は希望を胸にウンウンとうなずいていた。
にゃーんにゃんにゃーん(観覧ありがとうございます、おっと誰か来たようだ)
by 猫娘