お狐幼女になった僕が、神社再建をした話①
「米川涼音、あなたは願いが叶えば、なんでもするって言ったよね」
神社の神殿の中、真っ白い空間で、僕は唐突に言い返された。
部屋の中は、畳が敷いてあり、奥には神棚が飾ってあった。
窓の隙間から、外にある赤くて立派な鳥居が見える。満月の月光が輝いていた。
もし、神社には神様がいるのであれば、お狐様が出てくるのかなと僕は思い浮かべていた。来た所も稲荷神社だしな。それでいて徳のある人物がなるものだと思っていた。
目の前にいるのは、金髪の少女がまさにその人物なのだと僕の頭は理解するしかなかった。
その少女は和風っぽい着物に、おかっぱでまるで淑女のようだ。だけど頭には狐みたいな耳が付いていて、お尻には尻尾が生えていた。
その子の歳は、ぱっと見で僕と同じく、16歳っぽかった。
そう言い放った少女は腕組みをしながら、僕をずっと見ていた。
……一体何があった。僕はそれまでの記憶を思い出していた。
ーーーーーーーーーー
満月だったあの日。見上げると星がいくつも見えるぐらいに、雲ひとつなく、僕の白い息だけがふわりと景色に同化していた。
その僕は人里離れた所にある神社に来ていた。
「やっぱり誰も居ないな。正月だと言うのに」
今まで誰も見ていない、いや、人の気配すらない、神社に足を踏み込んだ。
ただ不思議なもので鳥居が最近建てられたのかと思うほどに真っ赤で綺麗だった。
まるで元旦の日に合わせて、新築したかのようだ。
僕自身、人っ子ひとりいない事に違和感を感じつつも、手水舎のお水をお酌でくみ、左、右と最後に口を洗い、本堂に向かった。
僕は、賽銭箱の目の前に立つと、財布を開けた。すると財布に小銭がないことに気づいてしまった。
キョロキョロするが、人っ子ひとり見当たらない。
「仕方ない。お札でもいれるか」
賽銭箱に千円札を入れると、神様が……。まぁそんな非現実的な事が起こるはずもなく、目を閉じながら願い事を言った。
「女の子にモテたい。なんでもしますから。お願いします」
僕は目を開けると、そこには目の前には神殿、下には賽銭箱と、さっきと変わらない光景が見えた。
そして、人っ子ひとりも、気配すらない雰囲気にため息を吐いた。すると僕のポケットからスマホのバイブ音がした。瑞希ちゃんからメールだ。
『もう連絡しないで』
僕は涙目になった。そして満月の月光に向かって走りだし、赤い鳥居の目の前に立った。
「女にモテないのならば、いっそお狐少女にしてくれ!!」
もう萌え豚にでもモテた方がマシだろうと僕はその時不覚にも脳裏に浮かんでしまった。
「その願い、叶えたもう」
「ん?今何か聞こえたような……」
その瞬間、僕は気を失った。目の前が真っ白に。ただ、身体は火に燃えたかのように熱かった。
ーーーーーー
「確かに、なんでもするって言いましたけど、なんで僕は身体が小さくなってるんですか?と言うかこれは夢なのか?これ?」
腕組みしながら、おかっぱ少女は寄って来た。
「貴様は願っただろう。妾がそれを叶えただけ」
あごを上に上げて、腕組みをしながら僕を上から見つめた。
僕は不自然になった身体を確認したくて、近くにあった鏡を見た。
「な、なんじゃこりゃ」
鏡に写っていたのは、背中まである金色の髪、整った顔立ち。そして頭には狐の耳、お尻からは尻尾が生えていた。ただ……。
「あの?なんで幼女なのでしょうか?」
見た感じも小学校2年生。低学年の幼女に僕はなっていた。
「ふん、そんな些細な事は問題ないのじゃ。それよりも貴様にはこの神社の再建をやってもらう」
「はあ?なんでだよ。そんな事……」
「なんでもやるのじゃろ。それかずっとその姿のままでもいいのかの?」
おかっぱ頭の少女はニヤリと微笑んだ。
くそ。ただ、僕はモテたいと言ったが、幼女のお狐様にしてくれとは言ってない。いや、近い言葉は言ったけど。
ピクピクと勝手に僕の頭にある耳が動く。
「うぅ……、気持ち悪い。なんだよ。これ」
僕は限りない、絶望を感じていた。首に首輪を付けられた気分だ。絶望感が漂う中、なぜそんなしょうもないことを口走ったのか、頭を抱えてしまった。
練習がてら、書きました!!
プロットとかキャラデザがきちんと書けたら、新作として出すかもです。
心踊る作品を作りたい(*´ω`*)
テンポ良い作品を今年は作ってみせる!!