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喫茶店
喫茶店のドアを開けると、カウンターでコップを拭いている男性店員がいた。髪は短髪の金髪で、体格は太めだ。
「やあ、マスター、いつもの頼むよ」
僕は男性店員に言った。その男性店員は僕を見るや苦い顔をして、牛乳の入った紙パックを僕の前に出した。
「牛乳ぐらい、コンビニで買えよ。いつもいつも。そして今は、時間外だ。毎回言ってるだろう」
コップに息を吹きかけ、タオルで拭きながら僕に言った。
以前はもっと優しかったのだけれども、なぜか次第に風当たりが悪い。
んー。もしかして、僕の正体に気づいたとか、いや、そんなはずはない。大丈夫だ。
「もしかして、いつもキレてるのは、僕の正体が……」
「興味ねーよ。お前の正体なんて」
男性店員が机に手を叩きつけた。ドンと言う音が店中に響き渡った。
「お前がいつもいつも、毎朝8時に牛乳って言って来るじゃねーかよ。本当にお前ぐらいしかパックの牛乳頼まないんだよ」
「牛乳美味しかったぜ。バイビー」
僕は店員にウインクした。
「もう来るんじゃねーよ。バーロー」
僕は喫茶店のドアを閉めた。飲み干した牛乳の紙パックを放置して。