七月七日 ≪七夕≫
――七月七日。
それは夜空に自身の願いを捧げる日。
――そう、≪七夕≫である。
遥か昔から綿々と続く由緒ある行事。それはいつしか混ざり合い、形を変えて、現在に至る。
現在では、多くの人々が笹に竹にと己が願いを籠めた短冊を吊るすだろう。
物を願う者、技術の上達を願う者、夢の達成を願う者、はたまた恋愛の成就を願う者。様々な願いが夜空へと捧げられていく。
しかし、その願いが叶うか否かは、自ら確かめるしかないのだろう。自らの足で人生を歩み、その結果にたどり着くしかないのだろう。
願いとは、突き詰めれば自己の欲望に他ならない。たとえ、どのような高尚な願いを掲げようともそれは己が望みし欲望に相違ない。
しかし、願いとは純粋なものでもある。物であれ、技術であれ、夢であれ、恋であれ、それを求める思いに善悪はないのだ。善悪が示されるのはそこに結果が伴った時のみ。
そう、願いとは人々を写す鏡のようなもの。まさに自己の顕現なのであろう。そうであるならば、人は願いを持たなければならないのではないだろうか。
ならば、捧げよう。この七月七日の夜空へ。
これは夜空に願いを籠めた人々の物語。何を思い、何を求め、何を願い、何を為したのか。それはこの先の物語をご覧あれ。




