銀の弾丸
寝ぼけた頭を回す。
特務対異形0課という聞き覚えのない固有名詞に僕は頭に疑問符が浮かぶ。
そんな僕を、女性は建物の中へ招く。
僕が躊躇っていると、コートの男は僕の背中を押した。
「おら。中に入れ」とあくびを噛み殺しながら言う。
「ああ。わかった」と金髪は何の躊躇いも無しにずかずかと入っていった。
それを見るとコートの男は僕に向かって首を突き出し、入れとジェスチャーした。
意を決して僕も中に入った。
建物の中はとてもキレイだった。
掃除が行き届いていて、明るく清潔な室内に居たのは二人の少年少女だ。
「こんばんは!後輩君。君達が新しいシルバーバレットの隊員になる人?ヨロシクね」とアッパーなテンションで話しかけてきた茶髪の少女。
「こらっ。静ねえいきなりそんなこと言われても困っちゃうでしょ」と言ったのは物静かそうな黒髪で眼鏡を掛けた少年。
突然の固有名詞のオンパレードに頭が回らない。シルバーバレット?特務対異形0課?まるで意味がわからない。
頭を回していると、コートの男は少年少女を手を振って追い払う動きをした。
「おら。あっち行ってちょっと待ってろ。ガキども」
「はーい。分かったよ。本郷さん」と少女は言うとピューという擬音が似合いそうな感じで走っていった。それを追いかけて少年も頭を一度こちらに下げると走っていった。
姉弟なのだろうかと今夜初めての温もりを感じていると、本郷さんとやらが僕たち二人に座るように促した。
お前ら何か飲むか?と聞かれたのでコーヒーを頼んだ。
「静。遊んでねえで客にコーヒー出せ」と本郷さんは言う。奥でガチャガチャと食器の音がなっている。大丈夫だろうか。
本郷さんが口を開く。
「俺がお前らに言いてえのは、内の特殊部隊に入って欲しいつー事なんだが」
特殊部隊?それがシルバーバレットとかいう奴だろうか?
「特殊部隊。それってさっきの娘が言ってたシルバーバレットとかいう奴ですか?」と問う。
「ああ。吸血鬼だけで作られた対異形部隊の事だ。ああ。話が少し早かったな。ここ対異形0課は、吸血鬼なんかの人外が起こした事件の解決や防止をする警察の集まりの事だ。さっきの刀の坊主が襲われた白衣の奴もここの研究者なんだよ。」そこまでいうと運ばれてきたコーヒーを一口啜った。
それに合わせて僕も啜る。
コーヒーの苦味が頭を空にさせる。
そして、頭に浮かんだ疑問を投げる。
「なんで、0課何ですか」
「吸血鬼なんかの異形ってのは俺なんかな人間より昔から地球に居たって言われてっから始まるの0ってことらしい」と解説してくれた。
そんなことより、どうやら僕たちは吸血鬼やらが起こした事件の解決をさせられる所に入れさせられるみたいだ。 いままで黙っていた金髪が声を上げる。
「なあ。それって拒否権って無いのか?」確かにそうだ。
「有るには有るが。断ったらお前らに自由は無くなっちまうな」
「なんでだよ」と金髪が聞く。
「お前らには見張りがついて、これを周りの知り合いの吸血鬼に喋んねえか監視されるからだな」と言われた。
「そんなん、ほとんど一択じゃねえか」と小声で金髪が毒づいた。
一方で、僕は喜んでいた。きっとたくさんのヒトを助けることが出来ると。
「僕、やります。シルバーバレットやらにいれてください。お願いします」
決まりだなと本郷さんは笑った。
「んで。ナイフの坊主はどうするよ」と笑う。
「知るか。こんなところ」と顔を本郷さんから背ける。
「あーあ。金髪の吸血鬼が暴れてた。ていうのどっかで聞いたからなあ。何かの部隊出さなきゃいけねえなあ」と分かりやすい脅しをかける。
すると、金髪は苦虫を噛み潰したような顔をして、「入るよ」と言った。
笑いながら本郷さんは「宜しく。俺がここの課長の本郷だ」と名乗った。
僕は「今日からここにお世話なります。白井恋と言います。宜しくお願いします」と言った。
「俺は伊賀佐助。宜しく」と金髪改めサスケが名乗った。




