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短編集

あの日

作者: 霧星 蒼

風が吹いた。僕は笑った。君は小さく声を上げて笑った。声は風に溶けていった。







日が差した。僕は手を目の上へと持っていく。日が強くなる。僕は目を細めた。君は、麦わら帽子を少し上げ、笑った。







空が見える。谷が見える。川が見える。鳥が見える。風がびゅうびゅうと音を立てている。君の黒く長い、艶やかな髪が空を舞った。君は、麦わら帽子を抑えながら、目を閉じた。








色とりどりの花たちが広がっている。僕は息を大きく吸い込んだ。甘い。蜂がぶんぶんと飛んでいる。真っ白な蝶が、ひらひらと花に止まった。蝶が、ぱたぱたと飛んで行った。君の麦わら帽子に、揚羽蝶が止まった。君は楽しそうに笑った。色とりどりの花びらが舞った。蝶が舞っていた。











風が吹いて、ゆらゆらと揺れた。力なく、吊り橋が揺れた。谷が見える。川が見える。君は吊り橋を揺らしながら、笑った。僕は笑った。ゆらゆらと吊り橋が橋が揺れていた。






水しぶきが上がった。君は、手に一杯にすくいためた水を放り投げた。きらきらと水しぶきが光った。僕は笑った。冷たかった。君は笑っていた。










赤が燃えていた。熱い、熱い熱が、僕の肌を焦がす。君へと手を伸ばすが君はどこにもいない。君は、どこにいるのだろうか。会えるのだろうか。会いたい。会いたい。君はどこにいる?











空が見える。谷が見える。川が見える。鳥が見える。風がびゅうびゅうと音を立てている。君はいない。僕は、目を閉じた。この場所で君も、風を感じていたのだろうか。風が強くなる。







谷だ。川だ。風が強い。まるで切り裂かれるかのようだ。君はいない。否、まだいない。







風が吹く。麦わら帽子が舞った。




ーendー

今回のみ、行を思いっきり開けてみました。今回のみ、文章の書き方も変えてみました。初めてこういう書き方したのでなんだか変な感じがします。今回はバッドエンドにしてみました。


なんか古い記憶を思い出している感じでわざとめっちゃぼやかしたので、分かりにくいところもあると思いますが、まぁ想像力で補ってください。


……男も女も死んでますから、古い記憶も何もないんですけどね。

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