プロローグ・・・妹とは
この作品は作者の自己満足とご都合主義で出来ています。
ジョークを嫌う方は読み進めないことをお勧めいたします。
プロローグ・・・妹とは
妹は可愛い。
ただ気を付けてもらいたいのは、ここで意味するのはあくまで自分の妹だ。
『妹』というだけで無条件に好きだというわけではない。
妹属性という性癖を持っているわけではない。
なんにせよ、出来過ぎた妹なのだ。
自分に似ず、ルックス良し、頭脳良し、家事万能と非の打ちどころがない。
対する自分は、服装やら髪型やらには無頓着だし、難しいことは考えるのも嫌で、自分の部屋の掃除すらままならないような有様だ。
もし他人様に誇れることがあるとするならば、幼少時に祖父の勧めで始めた合気道の腕くらいのものだろう。
この一点は本当に誇ることができると思う。
自分が妹に唯一勝っていると思えるものであり、このスキルによって妹を守ることができるからだ。
こんな状況から考えると、卑屈な人間であれば、妹にいいところをすべて持って行かれたと嘆くかもしれない。
しかし、自分はそうは思わない。
なぜなら、足りない部分があるからこそ妹に世話を焼いてもらえるからだ。
なぜなら、足りない部分があるからこそ妹の素晴らしさに気づくことができているからだ。
現に、自分ができないからこそ妹は部屋の掃除をしてくれるし、弁当を作ってくれる。
もし自分にそのスキルがあったなら、世話を焼いてもらうことはできないはずだ。
年上として恥ずかしくないのかという意見もあるかもしれないが、自分ではそんなことはかけらも思わない。
思ったこともない。
守るということと世話を焼いてもらうということが、自分たちの中ではイコールで結ばれているのだ。
ずっとずっと昔の、記憶の奥底に眠る、でもそれでいて鮮明な思い出。
妹を泣かせた狼藉者共を病院送りにしたあの日から、二人の価値観は一致しているのだ。
妹はその時助けてもらった恩を返すため。
自分は妹が返し過ぎている分をさらに返すため。
これは素敵な行き違い。
無限のループに陥っている気もするが、二人が満足しているのだからそれでいいのだ。
何かが、決定的な何かが二人を別つまで、この関係は続いていくだろう。
お互いに納得し、必要としているのだから。
そう。
だからこそ途中で止まるわけにはいかない。
妥協するわけにはいかない。
自分が妹を守るのだ。
もし妹を任せられる人間がいるとすれば、最低限自分より強くなければ認められない。
妹の隣に並び立とうというのならば、自分を倒してからにしていただく。
妹自身にとっても、それが相手を選ぶ最低ラインになっているようであるし。
愛する妹のため。
そして自分自身の心の安寧のために。
今日もまた、妹に交際を申し込んだ馬の骨を医療施設に送り届けてやるとしよう。
それが『私』の使命なのだから。