魔と血
ある竜人の手記 *71*-ジ
血の制御とは何か
竜人に流れている血には力があり、またその血の事を竜血という
その力を最大限に引き出すと竜化が進んでしまい
無理な竜化をすると力にのまれて体の制御ができなくなってしまうのだ
魔法とは何か
空気中または体内にある魔力を制御して
様々な現象に具現化させる事である
純粋な人族などには稀に魔法の才能を持つものが生まれるが
人族なので非力である、また体に負荷がかかるので一度に多くの魔力を行使できない(しかし例外がいくつかある)
竜人とは何か
太古の昔より竜姫と人族が交わり誕生した竜の血をひく種族である
普段は人の姿であるが、ひとたび竜の力を解放すると山や海をくだけるほどの力も操れるという
ただこれは個体差があるという事だけ記載しておく
「カンナ、手を前に出し指先から勢いよく丸いものが出ていくイメージをするのです」
「ん~ん~・・・わからないです」
「わかりました、ではカンナ私の指先をみているのですよ」
「はい・・・」
ヘレネスの指先が少しきれたとおもうと血が少しずつしたたってきた
「お母様ゆびから血がでてます!てあてをしないと!」
「カンナ、こちらにきなさい」
「お母様・・・」
「この血を舐めなさい」
「え・・・でも・・・はい・・・」私はすこしとまどいつつ母の言う事にしたがいました
血を口にふくみ飲み込むとからだがあつくなってきました
「う~・・・くるしいです・・・」
「カンナ、さきほど言ったように指先から丸いものが出ていくイメージをしてみなさい」
「はい・・・」
わたしがゆびを前にむけて念じてみるとふしぎな事にうすく緑の丸いものがゆっくりとゆびさきからでていきました
しばらくすると丸いものは音もなく消えてしまいました
「緑・・・治癒・解毒系の魔法ですか・・・よくできました今の感覚を忘れぬように毎日魔法の練習をするのですよ」
「はい、お母様がんばります」
この日から魔法の練習が私の日課となりました
あの日から1年がたちました
私が6歳になり治癒・解毒と幼いながら何とかできるようになった頃
突然家の庭の外で大きな音がなりました
当然家にいた私とお母様は驚いてすぐにかけつけました
するとそこにはファーヴニル様とケトス様がいてケトス様は拙い言葉でこう言いました
「かあさま、やりました」
ファーヴニル様はさほど驚いた様子もなくこう言いました
「やるではないか、将来が楽しみじゃぞ」凄く楽しそうです
庭の外にある木が一本綺麗にきられていました切断面の年輪が数えられるくらいに・・・
カンナが魔法の練習をはじめたらしい
毎日毎日魔法の練習をしている
この世界に魔法があるのなら俺にもできるだろうと思い
部屋の隅であまり危なくないものをイメージしてみたまずは風だ
息をはくみたいなゆるやかな風をイメージしてみた
すると近くにあった木製の玩具が少しとんだ
思ったより強い風に自分でも驚いていた
もう少し強いイメージをすると危ないところだったのかもしれない
自分で魔法を使えるとわかったので今日から練習をはじめる事にする
家族にばれないように注意して練習をしていて気づいた事がある
ある程度のイメージさえつかめれば簡単に魔法として使えるものは4つだ
水・火・風・地、前世でゲームなどによりイメージを掴んでいたため簡単に再現できた
水の玉・火の玉・風の玉・地の玉
少しずつ強くしていった
庭に出られるようになった頃、少しずつ気づかれぬように練習してみた
ずっと監視されているような気がするが気にしない事にする小さな子供をみているのは当然の事だから
監視していたのは母様だった
最初の数日は驚いていたようだが、それは自分から練習する小さなわが子の行動そのものについてだったようだ
ある日俺に話しかけてきた
「ケトスよ、魔法というのはドーン!って感じだなやってみよ!」
あまり流暢に喋るのはまだはやいと思い少し頷くと空にむかって水の魔法を放ってみた
強く激しい水が空高く射出され空でバンという音と共に弾けて雨のようにふってきた
ザーザーふる水に母は高笑いをしながらこう言った
「ケトス!!!最高じゃな!!!ハッハッハ!!!」満面の笑みだった
そんな母の笑顔をみていると同じように笑顔になってしまった
するとヘレネスがやってきた
「奥様洗濯物が乾きませんケトス様に魔法をみせるのは良いですが少し自重してください」
「ん~・・・そ、そうじゃな・・・ククク」いたずらっ子がみせるようなニヤニヤ顔になり俺をみるのだった
その日の夜母とお風呂に入っていると母が俺の胸を触ってきた
「竜核の形成がはじまっておるか・・・少しはやいの・・・魔法はさして問題ないようじゃな」
「ケトスよ、我の胸をよくみるじゃ」
そう言われても・・・結構ボリュームのある胸だよなぁ・・・じゃなくて何かあるのかな?と思い目をむけると
胸の中心から赤い宝石が出てきていた大きさは15カラットくらいでルビーみたいだった
「これは竜の命とも言われるものじゃ、もしこれを奪われれば我もケトスも竜の力を奪われ二度と竜人とは名乗れぬじゃろう」
「よいか?大事なものなのじゃぞ?わかったかの?」
「はい、かあさま」
「ケトスは可愛いし物分りが良いし最高の息子じゃな!ハッハッハ!」
母様はいつも俺をみてくれているようだ
息子として頑張らなくてはと思ってしまう
次の日の事
「よいか?ケトスよ・・・魔法はの?大きくドーン!でも良いのじゃが強さがたりなければ意味がないのじゃ」
「ちいさな魔法で練習をしていくのじゃ!こう・・・シュン!って感じじゃな!シュルル~!って感じもいいぞ!」
俺の母様は教えるのが下手なんじゃないかな・・・でも何となく出してる魔法で意味が伝わるのでいまはいいか
「はい」一つ頷くと風の魔法を少しずつ小さくしていき高速に回転する刃のようなものに形成していく
「おお!よくできておる!雑草でも刈ってみるかのぅ」
「えい」力のない声を出し庭の草に向かってなげつけてみた
思いのほかよくきれていたスパパーッ!って感じに
「うむ!これで庭も少し綺麗になるというものじゃ!」腹をかかえて笑う母がいた
その日の夕方ヘレネスが珍しく怒っていた
「奥様!いたずらに薬草を刈らないでください!これでは常備薬がつくれません!」
「ククク、き、綺麗になったじゃろ?プフッ!」何ていいつつ吹き出していた
俺の母様の性格が何となくわかってきたが俺の魔法の事はしばらく隠しておくつもりのようだ
そんな魔法の練習と遊びを繰り返していって1年がたった日の事
母様が俺を呼び出した
「ケトスよ、まずは木を切れるほどの風の刃をはなつのじゃ」
「はい」何度も練習して高速回転する風の刃を形成した俺はこの魔法をウィンドスライスと名づけていた
単体でも射出できるがいくつか形成して射出する方が効果的だと考えていた
まずは1つ木に向かって射出した
木はすんなりと切れて年輪が数えられるくらい綺麗な断面だった
ヘレネスとカンナが木の倒れる音でこちらにやってきていた
驚いているようだった
「やるではないか!将来が楽しみじゃぞ!」
「ケトスよ!今の刃と同様の強さの魔法をいくつかやってみよ!」
「わかりました、かあさま」
俺は火・水・地の魔法を順に別々の木に放ち火で燃やし、水で切り、地の魔法でくだいてみせた
「ヘレネスよ、ケトスは魔法の才があるのじゃ我はこの1年それを確認してきた」
「雨のような水も、ざっそ・・・薬草を刈りとったのもケトスなのじゃ」
目を細めて真面目な顔で呟く
「奥様、ではイン様の約束は予定にいれておくので?」
「そうじゃな、最悪断るつもりじゃったが・・・何の問題もないであろう」
「ヘレネス、カンナの方はどうなのじゃ?」
「治癒・解毒などは比較的順調ですが、攻撃魔法については芳しくないです」
「そうか・・・まぁそれは追々じゃの・・・今日はもう夕食の用意でもするかの」
「そうですね、では夕食の準備にかかります。カンナ手伝いなさい」
「はい、お母様」
私は驚きを抑えつつ夕食の準備を手伝う事にしました
読みにくくまとまりがない内容ですいません