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すれ違いの結婚  作者: 桜子
7/110

苦悩

翌朝、6時。詩織はてきぱきと二人分のお弁当を作っていた。


父と再婚した後妻は専業主婦であったが、朝も昼も料理を作ってくれなかったから、中学校から自分で作ってきた。6歳から台所に立ってきた彼女は手馴れたものだ。出来上がった卵巻き、つくり置きしておいた煮豆を詰める。昨日のうちに下ごしらえしておいた肉団子に、ブロッコリーを添える。りんごはウサギ、ウインナーはタコさんだ。



そして茹でたにんじんを前に少し考え込む。右手に持っているのはハート型抜き。100円ショップでつい買ってしまったものだ。



…重過ぎる、だろうな。




引き出しに戻し、代わりに一回り小さい星型でくり抜いて、おかずの一番上にのせ、出来上がり。パタンと蓋を閉じる。



ちょうど、僚が起きてきた。「おはよ!」と声をかける。


「朝から元気だなぁ…、歯磨いてくる」洗面台に向かっていった。




…明日はもっとトーンを下げなきゃ。詩織のテンションは一気に下がった。


良かった、ハートのにんじんなんて入れなくて…




結婚はゴールではない、なんて既婚者は口々に言うが、本当にその通りだ。10年の片思いの末に手に入れた結婚生活。夢のようだと思ったのは一瞬だけだった。




どうすれば、夫の気に入られるように行動できるのか、日に日にわからなくなっていく。




休日は、ほとんど友人と出かけてしまうし、夜の生活は一ヶ月に一度あるかないか。嫌われることが怖くて、言いたい事が言いえない。





これなら、友達として側にいた頃のほうが幸せだったじゃないか?ぼんやりとそんな事を思う。



「・・・おり、詩織?」


「あ、ごめんなさい朝食、すぐできるから」急いでフライパンを取り出す。


「いらない、昨日飲みすぎた。お前も仕事なんだから、無理に弁当つくる事ないよ」




どういう意味だろう。逆にいらないってことなのだろうか?




「ありがと…」そういうのが精一杯だった…。



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