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すれ違いの結婚  作者: 桜子
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真意

やってしまった。あんな態度を取るつもりなどなかったのに…




保のくやしがる様子がおかしくて。驚いた詩織の顔が、また、かわいくて。つい襲ってしまいたくなったんだ。




服を乱暴にぬぎ、ベットにダイブして、目を閉じる。





まだ友人関係だった頃、真っ赤な顔をして相談してきたことを思い出した。


「あ、あたし不感症なの…」


「へ?」


「いや、なの…触られる事が。好きな彼なのに、そういう目で見られるとゾっとしちゃう。いつも痛くて、その・・・しなきゃいけない意味がわかんないの。変だよね?わたし…」



どうやら真剣に悩んでるらしい…しかしその相談は僚のとってリアリティのないものだった。詩織が他の男に抱かれてるなんて、どうしても想像できない。




「彼氏、気付かないの?」


「イヤって言っても、真剣に受け取ってくれないの。逆に余計、力こめてきたり…」




そんな言葉は、男にすればただ煽ってるだけにうつってるよな~、お前は鈍感すぎるよ。




「よく彼氏満足できるよなぁ、俺ならヤダ、そんな不感症女…」つい、クスクスと笑ってしまう。


「あ、あいにくちゃんと演技してるから、彼はとっても満足してると思います!」


話はそこで終わってしまったけど、詩織の「イヤ」は本気の「嫌」なんだと、その時にしっかりとインプットされた。



ふと、そういえば俺もスキンシップが多い方だ、と思った。



しょっちゅう部屋に遊びに来ては、あーだこーだと悩みを相談していく彼女は、どんなに泣いてても、俺が頭をポンポンしてやったり、背中をさすってやったりすると、くにゃりとなんとも言えない可愛らしい笑顔になる。この顔が見たくて、どんどん触れたくなるんだ。


二人で出かける時は、必ず手をつなぐ。一つしかないベットで抱き合って朝を迎えたことも何度もある。正直、大人の男だから襲いたくなるときもあったが、グッこらえた。手をだしたら、終わる。そんなのは二人に絶対に起こってはいけないことだ。


しかも「僚って絶対に安全だよね!」と嬉しそうに言うものだから、その期待を裏切る真似はできなかった。


こうして、時には励まし合い、時にはケンカもし、そうして俺達は大人になってきたんだ。





それからすこしずつ、彼女へのスキンシップを減らしていった。手もつながなくなった。それで時折詩織が寂しそうな顔になるのは…演技なんだよな。


俺は、誰よりも詩織を知っていて、理解している。ずっと、ずっと一番近くで見てきたから。何も言わなくていい。わかってるよ。無理強いなんて絶対させない…!





とは思うものの、火のついた体はどうにもおさまりがつかない。



どちらかと言うと自分は淡白なほうだと自覚している。彼女のほうから「あたしエッチ嫌いじゃないよ?」なんていわれたこともあるくらいだ。



詩織が相手だとなんでなぜこんな風になってしまうのか…。



詩織の過去の男が決まって浮気したのは、お前のせいなんじゃないのか、とさえ思ってしまう。



僚が眠りにつけたのは、一時間後のことだった…。

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