1人の夜
夫は何時に帰って来るかわからないから、いつの日からか、日曜日は夕食を作るのをやめてしまった。
料理はいつでも人に振舞うもの。昔から自分一人のためには、たいした物は作らない。今日もご飯に納豆という味気ない夕食をものを3分ですまして、終わり。
おもしろくもないテレビを、リビングでボーっと見ていた。
今日は何時に帰ってくるのだろう。
誰とどこにいるんだろう。
わたしのどこが悪いのだろう。
・・・どうして、私は1人なんだろう。
結婚したのに。誰よりも側にいれるはずなのに。愛されてる実感なんてこれっぽちもない。
いつか、夫に女ができて、捨てられる時がくるのだろうか。今までの女達のように。
こんな事なら、友達の方が、良かった。
友達でいた頃はしたい時にメールも電話も出来た。「会える?」と言うといつでも快諾してくれた。私が泣いて電話したら、「まってろ!」と時間を作って飛んできてくれた。
時には付き合ってくれる女より、詩織を優先してくれる事さえあった。
「いつも甘えてごめんね」と言ったら「時間は作るもんだ、気にするな」と優しく頭を撫でてくれたっけ…。
もう、私のために時間は作ってくれないの?
結婚して、こんなに寂しいなんて…1人の寂しさよりも、二人でいる寂しさほうが、こんなにも辛いものなんて、知らなかった。
戻りたい、あの頃に…。
そう思った瞬間、涙が溢れた。拭いても拭いてもとまらなかった。
今日は随分と涙腺が緩い日ね…。
詩織は、テレビを消した。こんな日は、ゆっくり湯船に浸かって、気分転換しよう。
そう思って、立ち上がった時、突然、携帯が鳴る。
夫からだった。
「今、保らと飲んでるんだ。迎えに来てくれないか?」