『コロコロコミック』
小学生のバイブルといえば、今も昔もまず思い浮かぶのは『コロコロコミック』だ。
もともとは『ドラえもん』を中心とした漫画雑誌だったらしいのだが、おもちゃの情報がふんだんに盛り込まれるようになり、現在の不動の地位を築き上げた。
俺が最初にコロコロを買おうと思ったきっかけは何といっても『ビックリマン』だった。新弾が登場するたびに全シールのリストがつき、バックにあるストーリー展開が紹介され、シールだけでは分からない情報がそれで入手できるのがとても大きかった。漫画も連載され、中には「これって公式設定か?」と思うところもあったりしたが、小学生にはそれで十分過ぎた。確か最盛期には2本の漫画が連載されていたはずだ。そこからも、当時いかにビックリマンがブームだったかが分かる。
それから忘れてはならないのが『ファミコン』だ。
ファミコンに関する漫画もすべて思い出せないくらいたくさん連載されていたが、代表的なのは『ファミコンロッキー』だろう。
テーブルくらいの大きさのコントローラーを使い、馬鹿でかいモニターでゲーム対決をするという漫画だった。この漫画に特徴的なのが、裏技を用いた大逆転劇だった。裏技はおおいに結構なのだが、問題はその裏技がほとんどウソの技だったことにある。
おそらくもっとも多くの人が覚えているのが『スパルタンX』というゲームの話だろう。主人公トーマスがカンフーを駆使し、ヒロインであるシルビアを救い出す、といった筋書きのアクションゲームで、元となったジャッキーチェンの映画もあるから、そっちで知っている人も多いはず。ちなみに任天堂のゲームで映画タイアップとは結構珍しいことだ。
それはさておき、『スパルタンX』の裏技とは、ステージをどんどん進めていくと、救い出される側のはずのシルビアが襲い掛かってくる、というものだった。確か、ちょっとやそっとでは到達できないくらい周回を重ねなければならなかったはず。俺は当時からあんまり根気のあるほうではなかったから、試しはしなかったが、だれだれの兄ちゃんの友達が見たらしい、などとまことしやかに噂が流れたりした。くどいようだが、もちろんウソだ。
『ファミコン』で言えば、忘れてはならないのが16連射の高橋名人だろう。コロコロでも当然のように漫画連載されるくらいの人気だった。小学生漫画らしく、トカゲの尻尾、通称トカゲソを食べるとパワーアップする、といった内容だったが、きちんとハドソン社員として登場していたのが、今にしてみれば面白い。
この高橋名人の登場で一気に連射ブームが巻き起こり、『シュオッチ』という連射を競うおもちゃが流行ったのも時代をよく表している。
ジョイスティックにバネを仕込むという詐欺で逮捕されたとかいうデマも流れたが、本当に当時の子供たちは噂には弱かったらしい。
そういえば、人気絶頂の高橋名人がテレビのバラエティ番組に出演していたのを見たことがある。その番組は『24時間鬼ごっこ』というもので、名人はスタジオでのコメンテーターという形での出演だった。番組の冒頭で、司会に「このゲームの攻略法は何だと思いますか」と質問された名人は、くだらない企画に対してかなり不満だったようで、「23時間寝て、残り1時間で決着をつければいいんじゃないですかね」と、実に的確に答えていた。その姿を見て、この人はゲーム人間なんじゃなく、とても大人なのだな、としみじみと思ったものである。
「自慢じゃないが、俺、高橋名人と話したことがある」
「え? 先輩、本当ですか? どんなこと話したんですか?」
「いや、ぶつかっちゃってな、お互いにすいません、って」
「それって話したってうちに入るんですか?」