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『駄菓子屋』

 

 

 『駄菓子屋』と言えば、70年代以前のイメージが強いかも知れないが、80年代にもまだ多くの店があった。

 田舎の住宅地だった俺の家の近くにさえ二店舗もあって、それぞれ少しずつ品揃えが違っていた。歩いていける距離でさえそうなのだから、自転車で行ける範囲ともなると、それこそいくらでも駄菓子屋があった。俺たちは目当てにあわせて駄菓子屋めぐりをしたものだ。

 たとえば、先に話した『キン肉マン』のラブシールなどの、ちょっとしたホビーものの取り揃えがいい店。ここは普段は閑古鳥だが、子供たちの間で何かしらブームが起きると、たちまちに子供でにぎわうようになる、爆発力のあるタイプだ。

 さらには、割高な当たりクジのついたお菓子なんかも豊富だったりもして、ちょっとしたギャンブル感も味わえるという、男の子にとっては実に魅力のある店舗だった。

 しかし、この当たりというのがなかなか曲者で、まず当たることがない。ところが、俺は一度だけ『キン肉マン』のカードの当たりを引いて、一気に数十枚のカードを手に入れたことがある。その時は友達のなかでちょっとしたヒーローになった。

 反対に、普通の駄菓子の品揃えを充実させている店舗は、安定して子供たちがやってきていた。

 だが、ひとたび何かのブームがあると、さっぱり客足が遠のいてしまう。そういう店は、タバコも一緒に売っていたり、店の前にガチャガチャを置いたりして、差別化をはかっていた。

 恐らく90年代の中ごろまでは、こうしたお店がいくつかは残っていたように思うが、やはりというか、次々に店は無くなっていった。どの店も、おばあさんがやっているような店だったことを考えると、無理からぬ話ではあるのだろう。

 それでもシャッターが下りたままの店を目の当たりにした時には、やはり寂しさがあった。

 

 駄菓子屋の面白いところは、行くたびに新しい商品が出ていて、変化に富んでいることだ。そして、わずかなお金でたくさんの種類のお菓子を買うことができ、ちょっと勇気を出せばギャンブル的な冒険を味わうこともできる。

 もちろん、そうそう賭けが上手く行くわけがない、という現実を、嫌でも叩き込まれる場でもあった。

 今は大型ショッピングモールなんかに、昔の駄菓子屋風の店舗がチェーン的にあったりするが、ラインナップが画一的で変化に乏しく、どんなに内装を凝ろうとも、あの懐かしさというものは感じられない。

 やはり、百円玉を握り締めながら子供どうしで走っていき、奥座敷からおばあさんが出てくるという、あの雰囲気がなければ、本当の駄菓子屋を味わうことはできないんじゃないか。


 


「先輩、今の子供たちにとっての駄菓子屋はコンビニなんですよ、きっと」


「そうだろうな。だとすると、将来は今の子供たちがコンビニを懐かしむような時代がくるってことか」


「まさか」


「今はネットショッピングが盛り上がっているから、案外わからんぞ」




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