表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーク  作者: Masa
37/37

エピローグ

数日後、ゲーム筐体販売会社の経理担当者は、身に覚えのないモニター発注書に頭を抱えていた。

送り先はブライアン家。

不審に思い、担当者が直接ブライアン家を訪れると、そこは静かに葬儀が執り行われる最中だった。


担当者は、ただならぬ雰囲気に気圧されながらも、なんとか状況を把握しようと周囲を見回した。

すると、参列者の隅に若い女性と男の子を見つける。

誰に声をかけるべきか迷ったが、比較的話しかけやすそうな雰囲気の女性に意を決して声をかけた。


「あの、すみません。先日こちらにご自宅宛にモニターが届いたかと存じますが、お恥ずかしながら、弊社から誰かが勝手に発注をかけているようなんです。何かご存知でしょうか?」


ジャスミンは、その言葉を聞いた瞬間、脳内でいくつもの点が繋がるのを感じた。

ゲーム内でブライアンを騙る、少し若かりし頃のブライアンに酷似しているであろう老人、届けられたモニター、そこに映し出された無数のプレイヤーとNPCたち、そして今回会社から勝手に発注されたという事実。

今思えば、あんなに頻繁にアークと出くわすのもおかしい。

もしかしたら、私に声をかけてきたのも…?


「…まさか」


ジャスミンの顔から血の気が引いていく。

すべてが繋がり、事態の裏側にある不穏な真実に、彼女は戦慄した。


葬儀が終わり、静けさを取り戻したブライアンの家。

ジャスミンは、そっとアークが「眠る」ゲーム筐体の前へと向かった。

筐体はまるで、ブライアンの魂が宿っているかのように、そこに存在感を放っていた。


「あなたは、彼のアークだったのね。」


ジャスミンは、筐体へと手を伸ばし、静かに、そして深く感謝の言葉を呟いた。


「…ありがとう」


その言葉には、ヴェリディアン・レゾナンスへの感謝と、そしてブライアンへの追悼の気持ちが込められていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ