ep.35 奇跡の再会
彼はゲームの中で最期を迎えられないことに、絶望を感じていた。
その時だった。ブライアンの筐体が、突然、眩いほどの光を放ち始めた。
その光は部屋全体を照らし出し、ジャスミン達を包み込む。
そして、これまで何の反応も示さなかったモニターに、突如として映像が映し出された。
そこに現れたのは、《インフィニタス・オンライン》の世界だった。
数えきれないほどのプレイヤーたちが、王都の広場に集まっている。
そして、彼らの中に、見慣れたNPCたちの姿も混じっていた。
「アーク様! 生きていてください!」
「英雄よ、戻ってきてくれ!」
「貴方なしでは、この街は……!」
「また会えるのを待ってるぞ!」
プレイヤーたちは、ブライアンのアバターの名前を叫び、彼の無事を祈る言葉を口々に叫んでいた。
中には、涙を流しているNPCの姿もあった。
炭鉱夫たち、王都の住民たち、そして彼らが救った無数の人々が、画面いっぱいに映し出されている。
彼らは、ブライアンの存在が、どれほどこのゲームの世界に影響を与えていたかを物語っていた。
薄れゆく意識の中で、ブライアンの目から大粒の涙が溢れ出した。
それは悔し涙ではなかった。
感謝と、感動と、そしてゲームを心から愛した喜びの涙だった。
ジャスミンもまた、その奇跡的な光景に涙を流していた。
彼女はブライアンの手をしっかりと握りしめ、囁いた。
「ブライアンさん……。あなたがあっちにいられないから、向こうから、あなたに会いにやってきてくれたみたいよ……」
モニターの中の無数のプレイヤーとNPCの声援が、ブライアンの部屋に満ちていく。
その光景は、彼がどれほど愛され、どれほどこの世界に必要とされていたかを、何よりも雄弁に物語っていた。




