ep.32 封印の地
眩い光に包まれたジャスミン一行が転移した先は、まさに夢幻の世界だった。
足元はふかふかの雲でできており、周囲には幾本もの巨大な石柱がそびえ立つ。
それぞれの柱には、様々な宝石や金銀の装飾品が埋め込まれ、その異様な豪華さに一行は目を奪われた。
その空間の真ん中に、ポツンと置かれたゴージャスな丸テーブルと椅子。
そこでは、まるでティータイムを楽しんでいるかのような人物が、優雅に座っていた。
「やぁ、諸君」
高貴そうな声が響いた。
その人物は立ち上がると、片手にティーカップを持ったまま、ゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
彼の背中には、白い翼が生えていた。
「よく来てくれたね」
ジャスミンは呆然としていた。
彼女が想像していたのは、薄暗い場所で鎖に繋がれた、ボロボロな姿の堕天使だったからだ。
そのギャップに、驚きを通り越して困惑が広がった。
「…ふふっ」
隣にいたアークが、ついに堪えきれず笑い出した。
最初は小さな笑い声だったが、次第に抑えきれなくなり、腹を抱えて笑い始める。
「あはははっ、何だよこれ!」
高貴そうな人物は、アークのその言葉に「何かおかしなところでも?」とでも言いたげなジェスチャーをした。
その様子がまたおかしくて、つられてジャスミンも、ブライアン、セツナ、ヴァルカンも、みんなが笑い始めた。
その光景を見た高貴そうな人物は、ツカツカツカツカと早足でパーティのもとへとやってきた。
「なんだよもう、ここは感動的な出会いの場面ではないのかい?」
彼の言葉に、一行はさらに笑みを深めた。
その場は、封印された堕天使との対面とは思えないほど、和やかな空気に包まれた。




