ep.27 隠しクエストの発生
【守護者を1分以内に討伐したため、隠しクエスト:『堕天使の解放』が発生しました!】
【街の地下深くに封印された堕天使を解放する道が開かれた。街の北側、第一の塔の最上階に向かうべし。】
「隠しクエスト……? しかも、堕天使の解放?」
ジャスミンは驚きを隠せない。
少年は、そんなパーティの驚きなど意にも介さず、魔法陣の中心へと進んでいく。
彼は、光に包まれた何かを手に取り、そのページをめくり始めた。
古文書のようなものではない。
それは、まるで世界の真実を映し出す鏡のようだった。
少年がそれに触れるたび、ジャスミンたちの脳裏に、断片的な映像や情報が流れ込んできた。
その映像は、街に遣わされた天使たちが、その神聖なる力で街に巨大なバリアを張り巡らせ、魔物の脅威から人々を守っている場面を鮮やかに映し出していた。
神々しくも壮大な光景だった。
その映像は、まるでこのゲームの裏設定や、まだ知られていない深いストーリーを示唆しているかのようだった。
しかし、全ての謎が明らかになる前に、少年の体が淡い光に包まれ始めた。
「…………」
少年は何も言ず、手にしたものをどこかへしまうと、ジャスミンたちに振り返ることなく、その場からふっと消え去った。
強制ログアウト。
パーティは、唐突に現れては消える少年の存在、そして今、断片的に見せられた世界の真実の謎に、言葉を失っていた。
ジャスミンは、頭の中で渦巻く情報に混乱しながらも、パーティの仲間たちに視線を向けた。
セツナもヴァルカンも、驚きと困惑の表情を浮かべている。
ブライアンは、真剣な顔で、どこか遠くの方を見つめていた。
「皆さん、ごめんなさい!私、一旦ログアウトします!」
ジャスミンは、迷いを振り切るように言った。
今、このゲームの世界の謎を深掘りするよりも、どうしても現実世界で確認したいことがあった。
「えっ、嬢ちゃん!? 今からだってのに……」
ヴァルカンが引き留めようとするが、ジャスミンは首を横に振った。
「本当に、申し訳ありません。でも、どうしても確認したいことがあるんです。ごめんなさい!」
ジャスミンは、仲間たちに頭を下げると、ログアウトのコマンドを実行した。
意識が暗転し、彼女は《インフィニタス・オンライン》の世界から現実へと引き戻された。
筐体から出ると、部屋の明かりが目に眩しかった。
ジャスミンは立ち上がると、急いでブライアンの家へと向かう。
彼の安否を、自分の目で確かめなければならない。




