ep.25 大規模クエスト1
その夜、遊び疲れたマイケルを寝かしつけたジャスミンは、深い息をついた。
休日の疲れと、ブライアンへの拭いきれない不安が、彼女の肩に重くのしかかっていた。
しかし、ゲームの世界には仲間たちが待っている。そして、もしかしたら、あの生意気な少年が再び現れるかもしれない。
ジャスミンは、自室の隅に置かれたヴェリディアン・レゾナンスの筐体にそっと身を沈めた。
筐体に潜り込み、目を閉じる。
数秒の後、意識がふわりと浮き上がり、鮮やかな光景が目の前に広がった。
広大な《インフィニタス・オンライン》の世界。
彼女は、街の中心にある冒険者ギルドの前に降り立った。
すでにギルドの入り口には、見慣れた顔ぶれが揃っていた。
「おや、嬢ちゃん、遅かったな」
穏やかに微笑むブライアン。
その隣には、控えめに立つセツナと、大きく腕を組んだヴァルカンがいる。
「すみません、少し時間がかかってしまって。皆さん、待たせてしまいましたね」
ジャスミンは彼らに歩み寄り、軽く頭を下げた。
現実のブライアンのことは話せないが、ゲーム内のブライアンはいつもと変わらない。
そのことに、ジャスミンは安堵と同時に、どこか寂しさを感じた。
「いや、大丈夫だ。さて、そろそろ次のクエストに向かうとしようか」
ブライアンの言葉に、セツナとヴァルカンも頷く。
ジャスミンはクロスボウを構え直し、仲間たちと共に、新たな冒険へと足を踏み出した。
今回のクエストは、これまでで最も大規模なものだった。
広大なマップの奥深くに位置する失われた古代遺跡の探索と、そこに潜む強力な守護者の討伐。
パーティの連携が試される、まさに腕の見せ所となるクエストだ。
ブライアンは魔法で遺跡の仕掛けを解き、セツナは危険な罠から仲間を守る。
ヴァルカンは古代のゴーレムの猛攻を受け止め、ジャスミンは飛来する石の矢をクロスボウで破壊した。




