ep.23 ヒーローの正体
翌日の朝、世間は休日。
ジャスミンもマイケルも休みで、いつもより少し遅めに起きてきたマイケルがリビングでシリアルを食べている横で、ジャスミンはコーヒーを淹れていた。
「ねぇ、マイケル。この前、ゲームでモンスターに囲まれた時、誰かに助けてもらったって言ってたでしょう?」
ジャスミンは、何気ないふりをして尋ねた。
マイケルはシリアルを口いっぱいに頬張りながら頷いた。
「うん! すっごく強かったんだよ!」
「その人、茶色の髪をしてなかった?」
ジャスミンが尋ねると、マイケルは少し首を傾げた。
「うーん、よく見てなかったけど、速すぎてあんまり覚えてないな。あ!でもね、そういえば自分のことを『わし』って言ってたよ。珍しいよねー。」
「わし……?」
ジャスミンは思わず呟いた。
そういえば、確かあの生意気な少年も自分のことをわしと言ってたような…。
子供のゲーマーにしては、ずいぶん古風な言葉遣いだ。
同時に、彼女の頭の中で、あの少年のとてつもないゲームスキルと、マイケルを救ったという噂、そしてその奇妙な一人称が繋がり始めた。
「うん! だから、きっと中身はおじいさんなのかもしれないね! 僕のヒーロー!」
マイケルは無邪気に笑った。
ジャスミンは複雑な気持ちでマイケルの言葉を聞いていた。
あの生意気な少年が、中身は「老人」で「ヒーロー」。
ゲームの世界では、何がどう転ぶか分からないものだと、改めて感じた。




