ep.22 ブライアン、復帰
セツナ、ヴァルカンと合流したジャスミン。
そこへ何食わぬ顔をしてブライアンがやってきた。
ジャスミンは驚き、すぐさまブライアンの顔を覗き込んだ。
「ブライアンさん、体調はもう大丈夫なんですか?」
ジャスミンは心配そうに尋ねた。
ブライアンは優しく微笑んで頷いた。
「おお、お嬢さん。心配をかけたな。もう大丈夫だ。点滴を打ってもらったおかげか、今はもうだいぶ楽になったよ」
ブライアンの言葉に、ジャスミンはホッと胸をなで下ろした。
完全に回復したわけではないだろうが、ゲームをできるくらいには持ち直したようだ。
だがやはり心配ではある。
それが顔に表れていたのであろう。
「心配かい?優しいお嬢さん」
「…っ!……はい」
「そうかい。しかし、わしにも遠くの者を手助けできる術はない」
ブライアンが髭を撫で、遠くを見ながら続ける。
「だが一つだけ手があるかもしれん。どれ、わしにプレゼントを送ることにしよう。お嬢さんはそれをわしの筐体とつないでくれればいい。」
ジャスミンはまるで話の内容が理解できなかった。
でも、きっとゲームのキャラクターになりきって演じているのだと理解することにし、了承した。
一行は、新たなクエストの受諾に向かった。
今回のクエストは、街の近郊にある呪われた古道の浄化クエストだ。
最近、そこを旅する商人が魔物に襲われる被害が多発しているという。
パーティは古道を進んでいく。
道中、奇妙な瘴気が立ち込める場所があり、ブライアンの魔道士としての知識で瘴気の元を特定したり、ヴァルカンが道行く商人を魔物から守ったりと、順調にクエストをこなしていた。
しかし、古道の最も深く、瘴気が濃い場所に到達した時、彼らの行く手を阻むように、巨大な「瘴気の大蛇」が現れた。
それは、この古道の主であり、並大抵の冒険者では太刀打ちできないほどの力を秘めていた。
「よし、みんな! 作戦通りに!」
ブライアンが指示を出す。
ヴァルカンが先陣を切り、セツナが回復魔法の詠唱を始める。
ジャスミンもクロスボウを構え、狙いを定める。
その時だった。
茶色い髪の少年が閃光のように現れたのだ。
「またあんた! 何なのよ、邪魔する気!?」
ジャスミンが詰め寄ると、少年は鼻で笑った。
「別に邪魔なんかしてねぇよ。ただ、あんたら弱いからな」
「弱いって何よ! 私たちだって一生懸命やってるの!」
ジャスミンは怒りに声を震わせた。
少年はつまらなさそうに肩をすくめた。
「ふん、そんなことでイライラしてどうする。まぁ、せいぜい、このわしの背中見て勉強でもしとけ」
少年はそう言い放つと、パーティの誰もが反応する間もなく、瘴気の大蛇を横目に、一瞬で背を向け、古道の奥へと風のように飛び去っていった。
その姿は、あっという間に瘴気の向こうへと消えていった。




