ep.19 小さな英雄2
次に少年が挑んだのは、王都の住民から悪夢の根源と恐れられている古城に巣食う怨霊の討伐クエストだった。
「お化け退治か!ワクワクするな!」
と独り言ちながら、少年は静かに城内へと侵入した。
彼が廊下を進むたびに、うごめく骸骨兵や彷徨う幽霊が次々と襲いかかってくる。
少年は短剣や時には落ちていた棒切れを手に、それらをアクロバティックな動きで翻弄し、楽しそうに消し去っていった。
最上階にたどり着くと、空間が歪み、巨大な怨霊の塊が姿を現した。
「ボス登場!燃えてきた!」
少年は周囲に渦巻く幻覚をものともせず、歓声を上げながら怨霊の核へと突撃し、その存在を完全に消滅させた。
城の異変がおさまった翌朝、村人たちは悪夢から解放され、目覚めた時の清々しさに驚いた。
彼らはすぐに、何者かが城の呪いを解いたことを悟り、感謝と称賛の声が街中に響き渡り、それは最初の街にも轟くこととなった。
「誰が成し遂げたのかは知らないが、我らは救われた!」
「きっと、偉大な英雄がこの街に立ち寄ってくれたのだろう!」
少年は、その名声が日増しに高まっていることなど意にも介さず、ただ黙々と、しかし心から楽しそうに、次の冒険へと向かっていた。彼の瞳には、純粋なゲームへの情熱が宿っていた。