ep.16 リベンジ
翌日−
ジャスミンはパーティメンバーのブライアン、セツナ、ヴァルカンと合流し、新たなクエストへと向かう。
今回の目的地は、初期の街から少し離れた山岳地帯に棲む凶暴な魔物たちの討伐依頼だった。
パーティは順調に魔物を討伐していく。ブライアンの全体攻撃魔法が広範囲の敵を一掃し、ヴァルカンが最前線で堅固な盾となる。
ジャスミンは隙を見てクロスボウで敵を狙撃し、セツナは仲間の体力を細やかに管理した。
彼らの連携は前回のクエストよりも格段に向上していた。
標的のボスモンスターに遭遇し、いざ戦闘開始。
ブライアンの杖が光を帯び、セツナが補助魔法の詠唱を始める。
ヴァルカンが雄たけびを上げて突撃しようとした、その時だった。
「あれ、またあんた達か」
聞き覚えのある生意気な声が響き渡った。
茶色い髪の少年が閃光のように現れたのだ。
その姿を見た瞬間、ジャスミンは前回のボス横取りの苛立ちがぶり返した。
「あんた!また私たちの邪魔をする気!?」
ジャスミンが詰め寄ると、少年は鼻で笑った。
「まぁそう怒るなよ。わしだってあんただと分かってりゃ——」
少年の体が突然、淡い光に包まれた。
「……またかよ」
彼は不満そうに呟き、またしてもジャスミンたちの目の前でふっと消え去った。
「ねぇ、もしかしてこれって強制ログアウトじゃない?」
セツナが口を開く。
「そうかもしれんね。きっと、システムに規約違反と判断されたのでしょう。何はともあれ、邪魔者はいなくなったことですし、攻略を続けましょうか」
ヴァルカンが賛同する。
『あの子…私を知ってる?』
ジャスミンは、少年の最後の言葉が気になっていた。