ep.14 初パーティークエスト
彼らが最初に挑んだのは、「深緑の森の異変調査」だった。
最近、森の奥から不気味な瘴気が立ち込め、村の家畜が病にかかるという。
パーティは順調に魔物を討伐していくが、標的のボスモンスターに遭遇した時、予期せぬ乱入者が現れた。
「ったく、こんなザコ相手に手間取ってんじゃねーよ」
そう言い放ったのは、茶色い髪に青い瞳、いかにも利発そうな顔立ちをした、ヒューマンの少年。
10代前半くらいだろうか。
パーティが攻撃を開始するよりも早く、短剣を両手に構え、とてつもなく素早い、人間離れした動きでボスに肉薄し、あっという間に撃破してしまった。
「あ、おい!」
ヴァルカンが驚きの声をあげ、セツナも珍しくムッとした表情を見せる。
ジャスミンは、彼のあまりの傍若無人な態度に、ついカッとなった。
「ちょっと!私たちはパーティでクエストを受けているんです!あなたの横取りのせいで、努力が無駄になったでしょう!」
ジャスミンが詰め寄ると、少年は鼻で笑った。
「へへん、その程度の実力で何を努力したって言うんだ?おーばさん」
さらに挑発的な言葉に、ジャスミンは顔を真っ赤にした。
まさに口論に発展しようとしたその時、少年の体が突然、淡い光に包まれた。
「……ちっ」
彼は不満そうに呟くと、その場からふっと消え去った。
パーティの面々は、呆然としながらも、消えた少年の跡を見ているしかなかった。