祠と祈り
「祠に寄ってお供えしても良いですか?」
馬車に乗り込むとチータが聞いてきた。
「ほこらって?」お馬鹿さんの様な質問をしてしまった。でも、ほこらって…よくわからないし……
「ミコト様と最初にあった所は覚えてますか?その近くに水の神様にお祈りする為の小さな建物みたいなのがあるんですよ。良かったら一緒にお祈りしましょう。近くに精霊の祠もあるのでついでに案内します」
チータによると畑の近くに祠を作って、畑が潤うように祈るらしい。祈りは祠を通じて神様に届き神様が恵みをくれるらしい。神社や教会のちっこいのと理解した。
「チータは毎日祈ってるの?畑仕事してる訳じゃないでしょ?」
「私は雨巫女の末裔なので祈ることが日常でした。祠でも社でも良いのですが、祈りをしないと不安になるのです。畑のそばだからって実りの祈りしかダメではないです。農業以外のことでも祈って良いんですよ。祠で祈ることが大事なんです。神様を思い祈れば恵みをいただけます」
真剣なチータには悪いが神様なんて祈るだけでは願いを叶えてはくれないと思う。日本ではお布施もあげないといけなかった。それでも叶う事など稀だと思う。純粋な信心を持つチータには言わないけどね。
20分くらい馬車に揺られて祠についた。石で組んだ簡素な祠だ。雨で汚れが落ちたのか、白い石は大理石のようにつるりとしていて輝いて見え、御利益ありそうには見える。祠の中には古そうな女神の像が納められている。こちらは年月が経ちお姿がはっきりとはわからなくなっていた。
チータはいつの間にか買っていたお団子を供え、お祈りの言葉を口ずさんだ。
「大地を潤したもう水の神よ、感謝の祈りを捧げます。我が心も潤い満ちたり、深く感謝いたします。供物と共に感謝を伝えます。神の恵みを分け与えたまえ」
お祈りの作法はわからないけど、神様と言うので神社式にかしわ手をうち祈ってみる
……水の神様、私にもお恵みください。無事に日本へ帰れますように……
すると祠の中が光り、目の前に女性が現れた。
「其方には悪い事をしたわ。突然こちらへ来て驚いたでしょう。でも、チータと共に助ければ願いが叶うでしょう……特別に水の加護を授けます。さぁ、こちらの石を持って行きなさい……」
……なんだ??今のは……
ミコトの手もとには水色で透き通った宝石のような石があった。




