初めてのおつかい
今日も雨音で目を覚ました。ここは雨の降る季節なのかもしれないと考えながら昨晩裾上げした服を着ようとするが背中のボタンがとめられない事に気づいた。メイドさんを呼びたいがどうすれば良いのかと考えているとエマ様の側仕えが部屋に入って来た。ミコトが起きているのに気づいて顔を洗う準備をしてくれた。洗顔後は着替えを手伝ってもらい着ることができた。
朝食を終え寛いでいるとチータが迎えに来てくれ町へ連れて行ってもらう。チータの馬車に乗ると日傘が置いてあった。祠の近くで落ちてたのをひろってくれたらしい。
「ミコト様、今日は何を買いますか?お金は預かってますから必要なものは買いましょう」
「下着を買いたいです。あとはおやつになる様なものとか。お菓子とか、おつまみとか……」
こちらの食事は不味くはないが、貴婦人との食事は緊張と相まって食が進まない。甘いものでも食べて小腹を満たそうと思ったのだ。
町というか商店街の様な所に着いた。馬車は近くの広場に置いて街歩きすることにした。丁度傘があるので差して歩く。雨が降り続いていたので足元がぬかるんでいるのでエナメル靴が汚れるのは嫌だなと思いながら商店街を進んで行く。これしか靴がない。靴だけはサイズが合わないので借りられないのだ。
「靴も欲しいです。雨の日用とか、家の中で履く用とかありますか?」
「どうでしょうか、私も詳しくはないのです。この街に来てまだ1年ほどなので。まずはよく行く雑貨屋によって色々聞いてみてからお店探してみるのはどうです?雑貨屋だとオーダーも出来るので便利ですよ」
チータの案内で街の中心辺りにあるお店に入って、売り子の女性と話す事にした。下着はここで買う方が安いというので購入。この世界のパンツはかぼちゃパンツだった。ブラジャーはないらしくコルセットが胸も支える様になっているという。コルセットは苦しそうなので胸当ての様なものを自分で作ってみようと思い布を買う事にした。でも服装によってはコルセットも必要と言われて1着だけ購入した。キャミソール代わりのスリップや絹製の靴下も購入した。
売り子さんによると靴は基本的にオーダーメイドだそうで、靴職人に作ってもらうらしい。お店は無くて貴婦人は家に呼ぶのが一般的なので手配してくれた。
あとはおやつ的な物を買いたいと伝えたらクッキーの様な焼き菓子を売ってるお店を教えてもらった。「異国の味らしいので、ぜひ食べてみて!」と勧められたので行ってみる事にした。
その店は雑貨屋さんから少し離れていて食堂などが多くあるエリアに位置していた。
「ミコト様は異国の味って知ってますか?」
「異国って何処ですか?もしかしたら日本だったりしてー!だと嬉しいな」
まぁ、どこの異国だろうと私好みであるととても嬉しいって言うか、私好みであって欲しいと切に願いながら店へと歩みを進める。
雨が上がり、晴れてきた。買い物でテンションが上がり、さしていた日傘をくるくるまわしながら歩く。
「ミコト様の日傘は変わった生地ですね。金属を混ぜたんですか?」
はて?と傘をまじまじ見れば、中が銀色だった。これは蒸着だな。蒸発させて付着させてたんじゃないっけ?
金属の布かっこいいとか言っているチータ。君にはあげないよ。まだまだおニューだからね。
「これは金属じゃないと思うけど、紫外線や熱を通しにくくするために何か貼り付けてるんだと思うよ。私も詳しくはわからないけど……」
「そうなんですね。透明のコートも変わってますよね。こちらではみた事ないですよ。ミコト様の国にはいろいろ変わった布があるんでしょうね」
布というか素材かな。ツルツルやテカテカ、チクチクといろんな手触りの物があるよとか話しながら歩くと目的のお店へ辿り着いた。




