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祠詣りのあとで

 山の木陰にある祠でチータは毎日祈りを捧げていた。

 ここしばらく晴れた日が続き川の水量が減り水不足になりつつあった。

「雨よ、雨よ、渇いた大地を潤したまえ!」

 古来より雨巫女に伝わる祈りの言葉を唱える。

 チータは雨巫女の末裔。だが男の為巫女にはなれない。

 数年前から巫女となる女児がおらず、昨年最後の巫女が亡くなり現在は正式な巫女がいなくなってしまった。

 チータは巫女の従者となるべく育ったのでひと通りの作法を覚え、次代の巫女を探していた。

 今は領主館で働くベルミナの御者として働いて、朝夕の送り迎えのついでに祠詣りをする。

 雨の神への祈りを終えて両腕を広げ空を仰ぎ見ると黒い雲が見えてきた。

 やっと祈りが届いたか……と思ったその時。


 ドーン!!!


 雷が落ち、雨が降り始めた。


 祠から通りへ向かう坂道を下り始めると何かのかたまりが目に入った。よく見ると女性のようである。

「おーい! 大丈夫か?」とチータは大声で呼びかけた。

「雷に当たった気がしたけど大丈夫だったみたい」

 女性は返事をしながらも体を起こそうとするも痺れているのか上手く立ち上がれない。


「ご近所ですか? 家まで送りましょうか?」

 豪華な衣装を身に纏った女性を見てチータは丁寧に接する。

「はい。お願いします。 この先の三叉路を右に行った突き当たりの方なんです」

「この先は領主様のお屋敷しか無いですけど……、とにかく馬車に乗ってください」

 雨がだんだんと激しくなり濡れると大変なのでとにかく馬車へと乗り込ませた。


 チータは考えていた……

 もしや、拐かしか? 昨晩は侯爵邸でパーティがありましたよね…… その時に……

 顔立ちは異国の方のようですし、ドレスも見たことのない布を使っているようだし。大変高価な物かもしれない!

 領主様にお会いして対処していただきましょう。外交問題とか面倒ですから……

「とにかく領主様の屋敷へ参りましょう。私の主人あるじか、領主様に相談します……私では対処できませんので…… 」

 チータは領主館へ女性をを連れて行くことにした。


「ここはどこでしょう?」

「レーゲンの西の方ですが……」

 女性は考えてる様にも困惑している様にも見えた。

「レーゲン……聞いた事がありません……あの、あなたの名前は? 私はカイフミコト」

「かい?ふみ?……」

「カイフは第76代総理大臣と同じ苗字で海部。で、名前がみこと」

「チータと申します…カイフミコトさまはなぜあのような所でお倒れに?」

「ミコトでいいよ。雷がドーンてきてパタンと倒れて、チータさんの声で気が付いた」

「ドーン? パタン? ……私は平民なので呼び捨てで……位の高いお貴族様のご令嬢とはなかなか接する機会がございませんで、ご無礼をお許し下さい」

「貴族……?」

 ミコトは自分の服を見つめて、ふうーむと息を吐いた。








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