正論(67)お姉さんとお買い物
真由美です!
今はトレーニングセンターに行く途中で、おっきいサービスエリアで休憩中です。
トゥエルブお姉さんと洋服屋さんを探しに来ています。正直、体操着以外ならお土産用のキャラTシャツでも何でも良いかなぁ。
フロアマップを見ると……。
「お姉さん、ありました! 普通の洋服屋さんですよ?」
「へぇ……今は洋服のチェーン店も入っているんですね。よし、さっそく買いに行きましょう」
館内を歩いていると、美味しそうな匂いが色んなところから漂ってきます。
ギュルーギュルギュルギュルッ。
「あっ、お腹なっちゃった……」
「うふふ、この美味しそうな匂い、お腹空きますよねぇ」
「違うんですっ、セイロンさんのあの車乗ってると、お腹がギュルギュルするんですよ……」
「あぁ、あの車エンジン音凄いから。後ろから見るとバリバリバリッて火花散ってますからねぇ……。そうだ、後で何か買って食べましょう」
「はい、セイロンさんにも!」
うふふ、私ひとりっ子だからお姉ちゃんと歩いてるみたいで何だか楽しいなぁ。
それにしても……、通り過ぎる男の人、すっごいトゥエルブお姉さんを見てくるなぁ。歩きスマホか歩きトゥエルブお姉さんかのどっちかだよーー。
「お姉さん、めっちゃ見られますね。綺麗でスタイルも良いから見たい気持ちはわかるけど……」
お姉さんは颯爽と歩きながら。
「まぁ私、髪色もこんなですし、格好もヒーロースーツなんで仕方ないです。見たいなら見れば? って感じです」
見たいなら見れば……格好いい。私もいつか言ってみたい、ふふ見たいなら見なさい! なんちゃって……。
その時。
「君たちーー」
誰かが声をかけて来ました。若い男の人が2人です。
トゥエルブお姉さんが、手で私を守るように足を止めます。
「何だ、お前ら怪人か?」
お姉さん、たぶん普通にナンパです……。
「嫌だなぁ、僕ら怪人に見える?ライダーだよ、ライダー」
あぁ、言い方……。
「ライダー……何ライダーだ?」
やっぱり……。
「何ライダーって……普通にバイクのライダーでしょう」
うん、そうですよね……、ヘルメット持ってるし。
「あぁ、一般の方ですか、失礼しました。それで、なんのご用でしょう」
「もし良ければお茶でもどうかなって。あと僕らツーリング中だから出来たら一緒に走りたいなって思って」
「申し訳ありません。只今任務中ですから、お断りさせて頂きます」
「任務中、あっもしかして、ヒーローの方ですか」
お姉さんは身分証を出しました。
「はい、IHAです。お騒がせして申し訳ありません。ヒーローに見えませんでしたか?」
「はい、普通にめっちゃ美人のライダーかと思いました。任務頑張って下さい!」
男の人は敬礼してくれました。
「はい、ありがとうございます」
トゥエルブお姉さんは敬礼を返してまた歩き出します。
「すいません、真由美お嬢様、ライダーって言われて反応してしまって……」
トゥエルブお姉さん、ちょっと照れてて可愛いっ。
「うふふ、お姉さん、ライダーシリーズファンなんですか?」
「そうなんです。小さい頃からの憧れで、あんな風になりたいと思ってヒーローになったんです」
「わかります! 私も両親がライダーシリーズとか戦隊シリーズを全部観ている影響でファンになりました!」
と言うか、両親がそもそも私が生まれる前からヒーローなんだけど……。
「五百旗頭家、毎週日曜日の朝は家族揃って観てますよね」
「そうなんです、あーでもない、こーでもないって2人ともすっごい真面目に観てるんですよ。何ならその後昔のシリーズ引っ張り出して観たりしてます」
「うふふ、真佐江奥様もヒーロー大好きだからなぁ……。あ、ほら洋服屋さん着きましたよ」
私、洋服屋さんでやっと体操着から着替えられました!




