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ど正論ヒーロー セイロンガー  作者: 月極典


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51/113

正論(51)夜間の襲撃


 その日の帰り、五百旗頭一家は門まで見送りに来てくれた。

 

 「では、壽翁さん、真佐江さん、真由美さん、晩御飯ご馳走様でした。冷飯カレー、美味しかったのでおかわりしてしまいました」


「あらぁ、気に入ってもらえて良かったわぁ!2日目カレーの日はお昼ご飯ウチに食べに来て下さいね。真由美に言っておきますから」


「組み手が必要ならウチの道場を使うといい、私が在宅なら相手になるし、今度は真佐江ちゃんとヴィラン組み手しても良いんじゃないかな?」


「ありがとうございます。しかし、真佐江さんとは通常の組み手でお願いします……」

 セイロンガーは丁寧にお辞儀をする。


「あら、やだ……」

 頬に両手を当てる真佐江。やはり、自分の口撃を覚えていないようだ。


「もう、お母さんどんな組み手したのよ、恥ずかしい……」

 完全に嫌がるセイロンガーを見て、一体この人何したんだろうと思う真由美。


「あっははは……ふーむ、善き哉」

 壽翁はヴィラン組み手を思い出して、少しテンションが下がった。


 セイロンガーは五百旗頭邸前に停めた車に乗り込んだ。

(明るい両親に素直な娘、理想的な家族と言える。しかし、それは自然に出来上がる物ではなく、3人それぞれがそうあろうと無意識に努力した結果だ。その事に敬意を表したい)


 エンジンをかける、EV車なので騒音は無い。まるで電化製品の電源を入れたかの様な静かさだ。


 プンッと言う音と共に統合AIエミリーが立ち上がる。

『こんばんはマスター、何か良い事がありましたか?』


「こんばんは。……わかるか?エミリー」


『勿論、表情ではなく身のこなしでわかります』


「ほう、さすがだな」


『何となく、ですけれども。何かかけますか?今ならフィリーソウルベストをお勧めします』


「いいね、頼むよ」


 車内は『The spiners』の『Sadie』が流れる。亡くなった母への賛歌だ。気分だけでは無く、テーマも家族で合わせてくるエミリーに感心した。


 鼻歌を歌いながら車を走らせる、マンションまでは車なら1分もかからない。この曲を最後まで聴けないのは残念だ。そう思っていると……。


 前から見覚えのある黒いバンが現れる。わざとすれ違えない様、車を寄せるセイロンガー。

 

 プップッ


 短くクラクションが鳴らされる。

セイロンガーは車を降りバンに近づく。案の定、運転しているのは黒服戦闘員である。


 窓を開ける様に要求するセイロンガー。

 

「イ……」

 黒服戦闘員がイーッする前にパンチをスナップだけで軽く顔面に入れる。


「近所迷惑だ、イーッはやめろ。お前らこぞって何処に行く気だ?」


「ど、ど、ドライブだ!です……」


「嘘をつけ、五百旗頭邸を襲撃する気か?」


「ち、違うんです。後ろの……」


「ん?」

 後部座席を見るとゴリラ怪人暴れ太鼓とコモド怪人ヨダレが乗っている。


 暴れ太鼓がセイロンガーに気づく。昼間、鬼島を攻撃しようとした瞬間にセイロンガーに後ろからワンインチパンチを身体の太鼓部分に喰らい、皮が破れて気絶している。

「あーん?テメェはセイロンガーじゃねーか!昼間はよくもやってくれたな」


「ゴリラか、もう治ったのか?早いな」


「あんなもん、太鼓の皮を張り替えるだけだ。大した事無いわ」


「そうか、便利な身体だな。ん?トカゲ、お前……」


 トカゲを見ると口元からパイプ状の管が背中に向かって伸びている。

「えへへ、おで、博士にこで付けてもらったんだ。これで涎を垂らさないで済むんだ、いいだろ」

 ヨダレが話すと、ウィーン、シュボボボーッと口内の涎を管が吸い込んだ。


「……そうか、ちょっと入院患者の様だが、ダラダラ垂らしながら歩くよりマシだろう」

 良く言えば、量産型◯クⅡのパイプに見えなくも無いが……。


「でへっ、そだろ?これからズガイボーネッドを倒しにいぐんだ」ウィーン、シュボボボーッ


「おい、ヨダレあっさりバラすんじゃねぇ!」

 馬鹿正直なヨダレに怒る暴れ太鼓。


「そうか、これだけの人数で襲撃するのか?」

 車には黒服戦闘員6名と暴れ太鼓、ヨダレの計8名が乗っている。


「まぁ、五百旗頭邸はスカイホーネットしか居らんしな。余裕だ」

 VVEIは真佐江さんがハニービーなの知らんのか?いや、鬼島が話していたが伝わっていないのか。あそこの情報共有はザルか?


「当然、俺も参戦するぞ?」

 五百旗頭夫妻がいるのだ、こいつらが襲撃しようと負けるはずはないが、家には真由美さんもいる、自分の任務の範囲内だ。


「えっ、オメェもくるのか?おで、やめようかな……」ウィーン、シュボボボーッ


「びびんな、ヨダレ!あと、それ毎回うるせぇな。あんま喋んな」


 セイロンガーはスマホで五百旗頭邸に連絡した。

「はい、はい、怪人2名に戦闘員6名です。はい、いえ、私も行きます。すぐですから。はい、それでは今から連れて行きます」


 スマホを切り、

「では、行こうか。道場でみっちりしごいてやる」


「こんな襲撃があるか!」

 敵に連行される理不尽に叫ぶ暴れ太鼓。


「うるさい。近所迷惑だから叫ぶな」

 

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