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ど正論ヒーロー セイロンガー  作者: 月極典


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39/113

正論(39)急襲!管理人さん


 VVEIにサイレンが鳴り響く。

ウ――ウ――ウ――ウ――ウ――ウ――


「セイロンガー急襲!セイロンガー急襲!社内の怪人、戦闘員は至急1階ロビーで迎撃せよ!これは訓練ではない!繰り返す、これは訓練ではない!」


 水沢雪菜は2階の会議室で怪人課の部下と打ち合わせ中だったが、館内放送を聞いて思わず立ち上がった。

 

 (えっ!まずい来ちゃったよ、乗り込んじゃったよ管理人さん!どうする?雪菜!考えるのよ、シンク!シンク!)


 部下の社員が息巻いた。

「セイロンガーが単身で急襲だと?VVEIを舐めやがって!ん、水沢課長どうしたんですか?そんなワナワナして……」


「いや、ちょっとアレがアレしてアレなもんだから……」

 水沢雪菜は焦ると単語が出て来なくなるタイプだ。


「ちょっとわかんないですけど、そんなワナワナしなくても大丈夫ですよ。社内には怪人も戦闘員も沢山いますから」


「でも、ほら私はあのぉ、アレだから、あのぅ、怪人課の課長だから!こう言う時に先頭に立って指示しないと……な、なーんてね!」


「くぅ、流石です、課長!セイロンガーには苦汁を嘗めさせられてますからね。それでは、ご武運を!」


 (えーっ!止めないの?敬礼して送り出す?課長は女性ですから、ここに隠れて動かないで下さい、僕が行って状況を見て来ますとか?あるじゃん、ご武運祈る以外にさぁ!)


「……えーっと、じゃ、じゃあ行ってくるわ、パソコンしまって、あ、ファイル上書きして、筆記用具片付けて、ノート持った、後は……」

 水沢は必要も無くポケットを漁ったりして、あからさまに時間稼ぎした。


「課長!そんなのはいいから早く行かないと!」


「わーってるわよ!この馬鹿っ!」

 水沢は取り敢えず悪態をついて会議室を出た。


 (んもーう、なんでよ、なんで来ちゃうのよ管理人さん!あ……そうだ。一旦地下1の研究室に寄ってマリリンと合流しよう!そうだそうだ、そうしよう。これは作戦よ、決して顔を合わせたくないとかじゃなく、あくまで作戦!)


 階段を降り、地下に行く前にそーっと1階のロビーを覗く水沢。ロビーには2、30人の戦闘員が既に集まってセイロンガーを取り囲んでいる。セイロンガーは赤いヒーロースーツの上からネイビーのスーツを着こなしている。


 (アレが噂の80万の高級スーツか……控えめに言って、かっこよ!!いつも朝は掃除してるから作業着みたいの着てるけど……めっちゃ似合ってるぅ……おっと、危ない危ない、あんまり見とれてたら見つかっちゃう)


 地下に降りた水沢は、江口麻里と合流する為、真っ直ぐ研究室を目指す。


 一方、ロビーのセイロンガー、集まってきた黒服戦闘員に呼びかける。


「俺は戦いに来たのではない、大曲博士に用がある。そこをどけ、研究室は地下だろう?」

 

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