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ど正論ヒーロー セイロンガー  作者: 月極典


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33/113

正論(33)赤いスーパーカー


 鬼島だ。


 今日は非番だが、個人的に赤い奴と戦いに来た。

正直、あの娘はどうだって良い。久々に強敵と出会って血が騒いでしょうがねぇんだ。


 あそこが五百旗頭邸か、ここで待ってりゃアイツが迎えに来るはずだ。


 ボボボボ……ボボボボ……ヴォン……ボボボボ……ボボボボ……ヴォンヴォン……


 なんだ?この腹に来る重低音。

何か来るぞ?何だ?後ろか!


 うぉっ!すげぇ真っ赤なスーパーカーが来やがった!おいおい、やっぱりこの辺は高級住宅街だな……。

しかも、あまり煩くない様に無駄にエンジンふかさないところが憎いぜ。


 ん、五百旗頭邸の前に停まったぞ?


 おっ、あの娘……って事はあれを運転してるのはアイツか!

 

 くそっ!間に合うか?あぁ、娘がガルウィング開けて乗っちまった!


 ヴォン、ヴォーーーーン……


 あっと言う間に走り去りやがった……。マフラーから火吹いてたぞ?かっけぇな……。


 あのネェちゃんに知らせてやるか。


「もしもし、鬼島だ」


「水沢です。今日オフですよね?オウガ」


「いや、たまたま五百旗頭邸に通りかかったんだが、娘の送迎が車になったぞ?しかもドえらいスーパーカーだ」


「(あの地下駐車場の何千万もしそうな真っ赤なスーパーカー、管理人さんのなんだ……控えめに言って、素敵!)そうですか、オウガよーーーく聞いて下さい。絶対にその車を追いかけてはいけませんよ?傷を少しでも付けようものなら会社の大損害になります」


「敵の車なのにか?」


「はい、セイロンガーは普通にうちの会社に損害賠償請求してきます。過去、彼のスーツと靴を駄目にした怪人は80万円の借金を背負っています」


「えげつない奴だな、しかし俺が戦った時も着ていたスーツが駄目になったはずだが?」


「それが、その請求は来てないんですよね。よくわかりませんが」


「まぁ、どうせ走っても追いつけん」


「それに、オフの日に指令もないのにセイロンガーを倒してもノーギャラですからね」


「全くケチくせぇ事ばかり言いやがって!ぶっ殺すぞ!」


 あっ、電話切りやがったあの女!


「君、うちに何か用かね?」


「あ?おっさん誰だ」


「私はこの家の者だが、人の家の前で大きな声でぶっ殺すぞとは穏やかじゃないね」


「おっさん、もしかして五百旗頭壽翁か?」


「だったら?」


「戦うに決まってんだろ?」


「私はもう引退した身なんだが……戦うにしても、ここでは近所迷惑になる、こちらへ来なさい」


 へへっ、来た甲斐があったぜ!

 

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