正論(31)送迎は車に限る
真由美です。
あぁ、私が鈍臭いせいでまた攫われてしまいました……。
「真由美さん、すまなかった。怖かっただろう?」
「いえ……、セイロンさんが助けに来てくれるって信じてましたから」
「私1人では間に合わなかった。スカイホーネットと名乗るヒーローが助けてくれたんだ」
「スカイホーネット……」
「そう、あれは君のお父さんだろう?」
「何でわかったんですか?」
「まぁ……声も話し方も壽翁さんだったからな」
「すいません、黙っていて……」
「話してくれるか?」
「はい、父は元ヒーローのスカイホーネットで、今は私の学校の理事長の他にインターナショナル・ヒロイック・エージェンシーと言う会社を経営しています。国から依頼を受けてヒーローを派遣する会社です」
「その会社なら何度かコンタクトはあったが、私の本業はマンション経営だと言って断っていた」
「でも、父はセイロンさんを無理にスカウトしたい訳じゃなくって、純粋に私の警護を依頼したんだと思います。だから会社の事も話さなかったんです、きっと……」
「それは信じよう。何れにしても今回、私の力不足が露呈した事は確かだ。今後の警護については壽翁さんと相談しなければならない」
「あの、依頼を……断ったりしないですよね?セイロンさん」
「正直言って、あの黒いマスクの男、鬼島と言ったか、アイツがまた来た時に君を守れる保証がない」
「え、そんな」
「と言うわけで、明日から私の車で送迎する事を提案しようと思っている」
「え?」
「あまり大袈裟に送迎するのもどうかと思い、徒歩で行っていたが、君の立場を考えたらやはり車がベストだろう。これで余計な怪人に邪魔されることもあるまい」
てっきり守れる保証がないから断られる流れかと思った……。明日からセイロンさんとドライブ通学出来るみたいです!




