正論(26)ブラック・オウガ
水沢雪菜です。
鬼島さん、まだタバコ吸ってるのかぁ?怪人登録しなきゃいけないんだけど。
あぁ、いたいた。まだタバコ吸ってるわ……ってなんか喫煙所に人が倒れてる。いや、あれ怪人だな。
「鬼島さん、そろそろいいですか?」
「このメンソールがよぉ、吸っても吸っても吸った気しないんだわ」
「そうですか。で、その倒れてる怪人どうしたんです?」
「なんか因縁つけられたからよぉ、〆たわ」
この二人、東東京の武闘派、ゴリラ怪人暴れ太鼓と、コモド怪人ヨダレだわ……。この二人が揃っていてやられるなんて、本当に強いのかもしれない……。
「鬼島さん、手続きがあるので付いて来てください」
「ちっ、めんどくせぇな、ぶっ殺すぞ」
あぁ、なんで私がこんなヤカラ丸出し怪人ザ・暴力の面倒見なきゃいけないのよ……。
「鬼島三郎さんですね、私VVEI東京征服本部怪人課の課長水沢雪菜です。よろしくお願いします」
「あんた……」
「何ですか?」
「いい女だな」
「…………ありがとうございます。それでですね、まず、こちらが怪人登録にあたっての誓約書になりますので、5枚全てに目を通して頂いて、サインをして下さい」
「読んだ!」
「読んでない!」
「ちっ、めんどくせーな、とにかく世の中の奴らを全員ぶっ殺せば金が貰えるんだろ?」
「違います。こちらが指示した計画を遂行して頂いて、その成果によってギャランティをお支払いする事になります。ですから、こちらが指示していない人を何人ぶっ殺しても1円もお支払いしません」
「……ま、そりゃそうだ」
「わかってくれてありがとうございます」
はぁ、不毛……。
「では、読んだと言う事でこちらにサインを。で、怪人名ですけど、何か希望はありますか?」
「怪人名?」
「はい、例えばさっき鬼島さんが〆たゴリラは「ゴリラ怪人暴れ太鼓」が登録名です」
「じゃあ、鬼島怪人三郎で」
「真面目に考えて下さい」
「何だっていいって言ってんだろ、このアマ!」
うわ、立ち上がってこっち来ちゃったよ。
はい、ポチッと。
「いででで、おい、何しやがる!」
「電気ショックです。危険と判断したら泡吹いて倒れるまでやりますからそのつもりで」
「あんた……やっぱ、危険な香りのするいい女だな」
「はいはい、怪人名さっさと決めて下さいね」
「ブラック・オウガ」
「お?良いですね。格好いいじゃないですか」
「オウガは昔のリングネームだ」
「では、そちらで登録しますね」
「では、最初の任務を説明します」
五百旗頭令嬢誘拐計画……守るはセイロンガー。管理人さん……どうかあまり抵抗しないで下さい!




