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ど正論ヒーロー セイロンガー  作者: 月極典


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25/113

正論(25)黒の衝撃計画


 水沢雪菜です。

大曲博士から内線で呼び出しがあったので地下の研究室に来ました。


「大曲博士、お呼びですか?」


 大曲博士、VVEIジャパンの怪人開発担当役員で天才科学者です。


「水沢君、いよいよ黒の衝撃計画が完了したよ」


「え!遂にセイロンガーに対抗しうる怪人の完成ですか!?」


「あぁ、そうだ。これを見たまえ」


 改造用の手術台には黒いマスクにスーツを着た男があぐらをかいています。


「これは!?ほぼ管理人さん……じゃなくて、セイロンガー!でも色が黒なんですね」


「やはり、ヴィランは黒だよ水沢君。赤は駄目!ギャルソンも黒でヨーロッパに衝撃を与えたんだ」


「何の話ですか?」


「ちょっと古かったかな?まぁ良い。今回改造した男は本物だよ?何せ地下格闘技の元チャンピオンだ」


「なるほど、良く改造に応じましたね」


「実は最近まで殺人の罪で刑務所に入っておってな、出所後にパチ屋でフラフラしてた所を連れてきた」


「刑期は?」


「20年程だ、地下格闘技でチャンピオンだった頃、その筋と揉めてな、素手で相手を殴り殺してしまったのだ」


「20年って大分長いですね、今何歳ですか?」


「入ったのが30過ぎだから、50歳は越えているな。私より年上だ」


「おじさん……ですね」


「おじさんだ。しかし実力は折り紙付きだ」


「おい、お前ら」

 

「ひっ、喋った!」


「ヤニが切れた、タバコあるか?」


「あるにはあるが、ここは禁煙だよ、鬼島君」


「ちっ、喫煙所どこだ?」


「一階にある」


「じゃあ、行ってくるわ。よっこらせっと、あー腰いてぇー……」


「博士……、かなりおじさん丸出しなんですけど、あの人大丈夫ですか?」


 すると、男がすぐに戻ってきました。


「おい、これメンソールじゃねぇか!飲み屋のねえちゃんじゃあるまいし」


「今はそれで我慢してくれ」


「ちっ!ぶっ殺すぞ……」

 男は荒々しく文句言いながらまた喫煙所に向かいました。

 

「柄悪っ!」


「まぁ、そういうな、水沢君。あいつにはセイロンガーの正論など効かないぞ?その前に殴りかかるからな。なにせ逮捕される時に暴れまくって麻酔銃を使ったらしいからな」


「熊じゃん……でも、20年前の話ですよね?」


「いいか水沢君、ジャイアント馬場は61歳で亡くなるまで現役だった」


「何の話ですか……」


 あれ、私が預かるのか……。本当に嫌……。

 

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