正論⑿ 骨折
真由美です!
部活動も終わったのでこれから下校です。
セイロンさん、今朝別れた所で待ってくれてます!
朝とは違うネイビーのスーツです。
「セイロンさん、お待たせしました!」
「いや、時間通りだ。問題ない」
「お昼カレー食べたんですか?」
「あぁ、真由美さんに勧められた長寿庵でライスカレーとざる蕎麦のセットを食べた。和風出汁が効いて具の鴨肉も柔らかくて絶品だったよ、ありがとう」
「うふふ、どういたしまして」
セイロンさんに喜んで貰えて何だか嬉しいです!
「勉強はどうだった?」
「はい、実は私、数学が苦手で……」
「そうか、まぁ高校までの勉強は程々に出来れば十分だ。テストは高得点を取るコツさえわかればどうとでもなる」
「コツがあるんですね?今度、教えてもらってもいいですか?あの……ご迷惑じゃなければ」
「あぁ、お父さんの許可が出れば教えよう。そんな大層な事でもないが」
あれ?また怪人さんがいる……
「真由美さん、少し離れて待っていてくれるか?今度は少々やる相手かもしれん」
セイロンさん、一人で歩いて怪人さんに近づいて行きました。
あれは……海老?あ、シャコだ、私苦手なんですよねシャコ……見た目が無理で。
「おい、シャコ」
「待っていたぞ。朝は良くもタコ怪人キューバンに借金を背負わせてくれたな」
「背負わせた?タコ自ら分割払いにして背負ったはずだが?」
「毎月66000円、ほぼ家賃だろうが!普通のサラリーマンにとって、どれだけ大金かわかっているのか?」
「お前らのどの辺が普通のサラリーマンなのかわからんが、大体普通はいきなり毒墨を人にかけたりしないだろう」
「おっと、そこまでだ!危ない危ない、お前と話すといつの間にか言い包められると聞いているからな」
「そうか、では拳で語り合おうか。シャコなだけにいいパンチを持っているんだろう?」
「ん?何を言っている。私は静岡の名門サッカー部の出身だ。得意技はキックだ!」
「おい、ちょっと待て」
「問答無用、食らえインサイドキック」
あ、セイロンさんがローキックされてる……けど気にせず話してる。
「おい……本当にキックなのか?シャコなのにパンチじゃないのか?」
「何なんださっきから、俺が何を得意技にしても良いだろう?」
「まぁ、別に構わんが……その顔から生えてる長い手は飾りなのか?」
「飾りでは無い、パンチも出そうと思えば出せる」
「そうか、ちょっと打ってみろ」
セイロンさん、手を構えて何してるんだろう?
あっ、顔から生えた手でパンチした!凄い速さだったけど……
「おい、パンチの方が百倍強力だぞ?」
「手が痛い」
「折れたのか?」
「多分、折れた」
「そうか、もういい。帰社して大曲博士に治してもらえ。事情を聞いたら多分怒ると思うがな」
シャコの怪人さんは、顔から生えた両手をダラーンとさせて去って行きました。




