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ど正論ヒーロー セイロンガー  作者: 月極典


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105/113

正論(105)『政談VVEI成立史』3


「さて、鬼島君。5大ファミリーが衰退し、アメリカはどうなったと思うね?」


「まぁ、海外のシンジケートがほっとかないだろうよ。アジア、ロシア、中南米辺りか」

 中華系トライアド、ロシアンマフィア、メキシコやコロンビアのカルテルなど、各国の犯罪組織は常に巨大なアメリカ市場に直接入り込む隙を狙っていた。


「さすが裏街道を真っ直ぐ歩いてきただけあるな、鬼島君」


「そうそう、暗くてジメジメした裏通りばかり歩いてきたからこのザマっておい!……あ、いや、その通りだったわ」

 元地下格闘家チャンピオン、その筋と揉めて殺人、刑務所に20年、出所後改造手術、現在ブラックオウガ。履歴書に書ける内容が皆無の鬼島である。

 

「すまんすまん。……以前は政府とも繋がり、海外から悪の流入をコントロールし、防いでいた5大ファミリーが無くなり、海外シンジケートがやりたい放題するようになった。中南米からは麻薬が直接持ち込まれ、アジア、ロシアからは質の悪い麻薬を含んだ合成鎮痛剤が大量に流入し、地方都市がゾンビのような薬物中毒者で溢れるようになった」


「裏で誰が糸引いてるのかわからねぇから、イタチごっこってわけだ」


「あぁ、そんな状況の中、5大ファミリーの血を引く若者が5人、後のVVEIの元になる秘密の会合を開いた。『円卓のファミリア』と呼ばれる会合に参加したメンバーは、アレッサンドロ・ベネッティ、ルカ・デ・サンティス、マッテオ・ロマーニ、ステファノ・カルヴァーニ、エンツォ・モレッリ」

 彼らは皆、5大ファミリーの名ではなく母方や親戚のファミリーネームを名乗っていた。


「ちょっと待て、カタカナの許容量を超えたわ。よくスラスラ出てくるな」


「まぁこの世界じゃ有名人だからな。彼らはファミリーの隠し資産を元手にそれぞれの得意分野のベンチャー企業を立ち上げた」

 壽翁はスマホを取り出し、5人が立ち上げた企業の一覧を鬼島に見せた。そこには5大ファミリー名も記載されていた。

 

▪️アレッサンドロ・ベネッティ 本名:ベナンノ

 ヴィヴァノール・ヘルスシステムズ 医療、再生医療

 ヴィヴァーレ財団 慈善財団

▪️ルカ・デ・サンティス 本名:ガンベーリ

 グランヴィス・ダイナミクス 軍需、AI、バイオ兵器

▪️マッテオ・ロマーニ 本名:コルバーニ

 コロネット・メディア SNS、動画配信

▪️ステファノ・カルヴァーニ 本名:ヴェサーニ

 ヴェセイン・キャピタル 投資・暗号資産

▪️エンツォ・モレッリ 本名:ルケッティ

 ルクレス・グローバル・ロジスティクス 物流、サプライチェーン


「うわ、モノホンのコーザノストラじゃねぇか。しかし、昔のマフィア系企業って感じじゃねぇな。カジノホテルとか酒場とか風俗とか……」


「いわゆるマフィアの匂いのする業種は捨てたんだな。力を入れたのは見た目クリーンで、社会の中核たり得る業界だ。しかも、互いが連携し合うことで大きな相乗効果を生み出せる」


「な〜るほどねぇ……昔の財閥みたいなもんか」


「まぁそうだな、しかもイタリア系企業連合であることを隠すために、トップは必ず傀儡の他国系を据える徹底ぶりだった。ユダヤとかインドとかな」


「ふむ、下の3つは役割がだいたいわかるな。情報操作、金、密輸。怪しいのは上の2つだ。医療と軍事、きなくせぇったらねぇな」

 意外と鋭い鬼島は、話の核心に迫ってみせた。


「いいよぉ、鬼島君! そう、その2つの企業の活動こそが、後の『怪人』誕生に繋がったのだ」


「ところで御隠居、そろそろ腰が限界なんだが、まだ続くんですかい?」


 御隠居の話はいよいよ後半に突入した!

 

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