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ど正論ヒーロー セイロンガー  作者: 月極典


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104/113

正論(104)『政談VVEI成立史』2


「それで、御隠居! それからどうなったんだい?」

 鬼島が身を乗り出して話の続きを催促する。

 

「だから御隠居じゃないというのに。口調が熊さん八つぁんになってるぞ、鬼島君」

 

 そこへ、お盆を手にしたハニービーがエプロン姿で喫煙スペースにゴトゴトと足音を鳴らして入ってきた。

「あらあら、まぁまぁ楽しそうに盛り上がって、仲がよろしいのねぇ。はい壽翁さんコーヒー。鬼島さんも、はいアイスコーヒーのおかわり」


「悪いね、おかみさん!」


「ありがとう、真佐江ちゃん。セイロンガー君の方はどうだね?」


「面白いわよぉ、早く戻って観なきゃ。ここ煙いし!」

 まるでバラエティ番組でも観ているかのような反応を残し、ハニービーこと真佐江はゴトゴトと戻っていった。


 壽翁はホットコーヒーに口をつけ、続ける。

「オホン、では続けよう。世論の変化もあり、アメリカ政府はついにマフィア=コーザノストラの一掃を決意する。1970年に誕生した『RICO法』だ。これは末端が犯した罪でも、組織犯罪のパターンが認められた場合、トップを含めた組織全体を罪に問える画期的な法律だった。これによって所謂5大ファミリーがほぼ壊滅に至った」


「へぇ、すげぇもんだな。そのなんとかって法律は」

 鬼島は新しい煙草に火をつけながら言った。


 壽翁もそれを見て煙草を取り出し火をつけた。

「そうだな、全資産没収、最大20年の禁錮刑、民事では被害額の3倍の訴訟が行われた。だが、ファミリーの血脈が途絶えた訳ではなかった。RICO法以降に生まれた5大ファミリーの子供たちは名を変え、素性を隠し、政治や経済界に入り込み、静かに反撃の機会を伺っていたのだ」


「いいねぇ、失われたファミリーの復興を虎視眈々と狙う子孫ども、盛り上がってきやがった!」


「あのねぇ、鬼島君。一応これ、敵のヴィランの話だから……」


「ちげえねぇや。でも、御隠居の話っぷりがあんまりにも面白れぇからよう」


「そ、そうか、ありがとう……では、続けようか」

 御隠居呼びをとがめることを忘れるほど、悪い気がしない壽翁であった。


 『政談VVEI成立史』、まだ話は中盤である。

 

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