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ど正論ヒーロー セイロンガー  作者: 月極典


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正論⑽ 分割払い


 真由美です。


 もうすぐ学校です。


「初日だったが、何事も無く無事に登校出来て良かった」


「タコの……」


「あぁ、そんなのもいたか。私は正門まで一緒に行くわけにいかないからこの辺りで登校まで見ている」


「はい、ありがとうございます。今日は部活があるので帰りは16時位だと思いますけど、わかったら連絡しますね」


「そうしてくれ。私は一度帰宅してスーツをクリーニングに出さなければならない。ヌルヌルしているのでな」


「あの……」


「どうした?」


「真面目な連絡以外でも、メッセージしても良いですか……?」


「あぁ、構わないが、私はあまり話して面白い人間ではないぞ?それでもよければ」


「はい、では行って来ます!」


「あぁ、行ってらっしゃい」


 正門で振り返ると遠くで見守るセイロンさんが見えました。

あれ?後ろ……タコの怪人さんがヨロヨロしながらセイロンさんに近づいてきてます!


 私が後ろを指差すとセイロンさんは振り返って、いいから行きなさいと手で合図しました。

でも……。


「足を引き摺っているな?大丈夫か」


「闘いの中で負った怪我だ、後悔はない」


「顔の足が全て無くなっているが、それはまた生えるのか?」


「これは良く生え替わるのだ……朝起きたら抜けている事もある……」


 遠くで2人が何か話しています。


「タクシーを呼んでやる。VVEIに戻って大曲博士にその足見てもらえ」


「お前、博士を知っているのか」


「あぁ、俺も改造された口だ」


「そうかぁ、では同胞ではないか、そうかそうか……。では、死ね!」


 あっ!墨吐いた!


「……」


「これは毒墨だ!お前はすぐに溶け始め、全身に毒が回り死に至るのだ」


「俺に毒は効かん」


「なに?」


「聞こえていただろう、毒は効かないし、この身体は溶けもしない、ただ汚れるだけだ」


「この墨は金属も溶かすんだぞ?」


「そういう問答は博士にしろ。見ろ、生地の方のスーツはボロボロに溶けている、請求は会社で良いか?」


「そんなもの会社が払うか!」


「では、お前が個人で払うのか?」


「ちなみに……2万くらいか?」


「ネクタイ、シャツ……革靴も傷んでるからな。ざっくり80万位か」


「は、80万だと?」


「スーツとシャツは生地から選んだフルオーダーのテーラーメイドだからな、それ位は妥当だろう」


「分割払いは可能か?」


「まぁ、即金では無理だろうから12回払いにしてやる。割り切れんから半端はサービスしてやる。毎月6.6万をここに振り込め」


 セイロンさんが帰って行く……。タコの怪人さん、何か懇願してる……。


「毎月6万は無理だ、24回!せめて24回にしてくれ!」


「駄目だ、少しは痛みと自分の行動の責任を感じろ。何が、「では死ね!」だ」


「初回は来月からにしてくれー!」


「あぁ、来月末からでいい。だが遅れるなよ?遅れたら殺す」

 

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