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破壊神の終末救世記  作者: シマフジ英
49/51

49 生きるために

 ルーツとサナは、長老と共にニーベ村の跡地で、オーデルグを看取った。長老はミストロア王国のしきたりを知っていたので、それに基づいてオーデルグを埋葬した。


 村に戻る頃、長老は力尽きて消滅を向かえ、村人の多くが涙することになった。ルーツとサナも声を上げて泣いた。


 長老がいなくなってしまったので、村人の消滅は時間の問題となってしまったが、残された時間を使い、ルーツとサナはオーデルグが残した最後の魔法を完成させる活動をすることにし、村を出た。


 ルーツたちにはルーンドラゴンという足もあったので、冒険者たちや元破壊神討伐チームに挨拶もした。オーデルグをニーベ村の跡地に埋葬したことを伝えると、ジャックとリリィとサナ王女はニーベ村の跡地に向かった。後日にルーツたちが聞いた話では、ジャックとリリィは墓地で、サナ王女はオーデルグの家の跡地で大泣きしていたそうだ。後悔と共に生きる、それが彼女の宿命となった。


 サナ王女とバスティアンは正式に関係を断った。あれだけのことがあって続けることは出来なかったのだろうと、ブルーニーたちが口々に言っていた。


 オーデルグが作った魔力結界は少しずつ小さくなっていった。しかし、発生源となっているメルトベイク帝国や、そこに近いミストロア王国が解放されるのはまだ当分先になる。


 しかし、それは戦乱の主導者たちも石化から解放されることを意味するため、ブルーニーは事前に主導者たちを拘束する計画を密かに練った。手始めに、ミストロア王とドゥルナス皇帝を魔力結界の外に連れ出したところ、彼らは石化状態から解き放たれても、長く悪夢を見させられたせいか、廃人のようになっていた。


 また、オーデルグ一味の姿はどこにもなかった。ブルーニーたちの前で眠りについたはずのヒルデもだ。きっとブラストが全員を回収したのだと推測されている。


 解放された地域では、人々の石化状態が次々と解け、復興に進み始めた。マーリの街の冒険者や元破壊神討伐チームの中には、その手伝いに出かけた者も少なくない。


 バスティアンは取り憑かれたように復興やその関連の仕事に取り組み、盗賊相手に無茶な制圧行動を取り、大怪我をした。それを聞いたブルーニーはバスティアンのところを訪れ、死に場所を探すようなことをするのは卑怯だと叱りつけることになった。


 ルーツとサナはある日、ユグドラシルの木末(こぬれ)のところに行ってみた。その地を訪れるなり、ユグドラシルの精はルーツたちの前に姿を現した。


「なぜここを訪れたか、理由は分かっている。君たちの存在についてだな?」

「はい」

「すまぬが、二度目の手助けはできぬ。創造神サカズエとも破壊神トコヨニとも、そういう約束になっていたのだ。サカズエは遥か昔にユグドラシルの力を使った。トコヨニは一度も使っていなかったから、今回はそれに答えたまで」

「そうだったのですか。いえ、ユグドラシルの力を借りられないことは何となく分かっていました」

「ここへ来たのは、念の為の確認です」

「そうか? 何やら、別の当てがありそうだな」

「はい。オーデルグが残してくれました」

 ルーツとサナは頷き合った。


「では、私たちは行きます」

「うむ。君たちがどんな策を持っているのか知らぬが、上手くいくと良いな」

「ありがとう」

 ルーツとサナはルーンドラゴンに乗ってその場を後にした。


 ルーツたちには一つ、大きな当てがあった。困った時にもう一度来いと言ってくれた魔物、ケホダビーだ。ケホダビーは、はちみちが妙薬の材料になるほどの、再生を司る魔物。今回の魔法の完成のために何らかの情報を持っていると思ったのだ。


 ルーツたちは一度マーリの街に行き、ネロとシンディをピックアップした。彼らも手伝ってくれることになったからだ。


 そして、ケホダビーのいる大森林へと向かった。


「うへぇ、こんなでかい森にケホダビーがいるのかよ?」

「会ったことあるんだっけ、ルーツもサナも?」

「ああ、結構前だけどな」

「敵対しなければ、気さくな魔物よ」

 ルーツは探知魔法を使いつつ、大森林に降下する。以前と同じように、羽音の方から近づいて来た。


「ルーツさんにサナさんじゃないですか!」

 そして、人間の大人の大きさくらいのハチ、ケホダビーが姿を現した。


「お久しぶりです!」

「お元気でしたか!」

 ルーツとサナは駆け寄り、ケホダビーと握手を交わす。


「ったく、あいつらといると退屈しねぇなあ……」

「まったくね!」

 ネロとシンディもケホダビーの元に向かい、自己紹介をする。


 ルーツたちはケホダビーの女王の元に招かれた。


「そうですか、ルーツとサナが破壊神に創られたコピー人間……。破壊神の力抜きで生きるための方法を模索していると」

「はい、そうです」

「それで、相談なのですが……」

 ルーツとサナは、オーデルグの作りかけの魔法を完成させる手助けを求めた。女王からは即答が返ってきた。


「もちろん、力を貸します。我々もあなたたちにした約束があります。困ったことがあったら力になると」

 女王は笑顔で引き受けてくれた。ルーツとサナは顔が緩み、ネロやシンディと手をタッチした。


「ケホダビーの総力を上げてその魔法を完成させましょう。さあ、忙しくなりますよ!」

「望むところです!」

「私たちだけじゃない、村の皆のこれからがかかっているんですから!」

 ルーツとサナは女王に答えた。


 生きろと言ってくれたオーデルグとの約束を果たすためにも。

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