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私達は人生から期待されている

 今日、通勤途中に、セーヌ川から身を投げる人を見た。パリの北緯は高いため、もう朝の7時だというのに、空がかろうじて白み始めてきた頃合いであった。”Arrete!”という女性の甲高い声に振り向くと、痩せ方の若い男性がサン・ミシェル橋から離れて、空中に浮かんでいた。次の瞬間には、セーヌ川に水しぶきをあげていた。数秒後にはかすかな波紋となった。その波紋も、本当に彼が作ったものか定かではない。


 私以外にも、目撃者は何人かいて、その内の一人が携帯電話で警察に連絡をしているようであった。朝のシテ島のいつもの静けさが一転して、”Oh, mon dieu.” “C’est horrible.”という喧騒に変わった。サン・ミシェル橋のガーゴイルだけが、相変わらずに神妙なような、微笑しているような顔でセーヌ川の静まった水面を見つめていた。騒ぎを聞きつけた野次馬に目撃者が説明しているのを聞く限り、事故ではなく、自らの意思で飛び込んだようだ


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