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帰宅

 目を開けると木々の隙間から青空が見えた。

「なんで俺こんな所で寝てるんだ?」

 しばらく空を見ながら今日の記憶を遡った。

「確か·····ゴブリンの討伐に来てたんだよな」

 そこで気を失う直前の事を思い出し一気に呼吸が浅くなる。

 その時右手にぬるっとした感触を感じ顔の前に持っていくと手のひらに血がべっとり着いていた。

 それを見て俺は完全に過呼吸を起こしてパニック状態になり頭の中が真っ白になる。


「はっうわぁっ!」

 なりかけたところで首の後ろに氷を直接当てられたような冷たさを感じて悲鳴をあげて飛び起きた。

 思わず利き手の右手で触りそうになって血がついてることを思い出して左手で首の後ろに触れると首にぺったりと何かがくっついていた。冷たさの原因はこれのようだ。

 剥がしてみると氷の塊だった。


「何だこれ?」

「にゃー!」

 顔を上げると目の前にクロが座っていた。俺と目が合うと近づいてきて頭を左手に擦りつけてきた。

 一頻り頭や顎の下などあちらこちら撫で回すとすぐに喉を鳴らし始めた。

 そのまま撫で続けながら刺された場所を見てみるとやはりブレストプレートには穴が空いていてその周りは血で湿っていたが傷口は塞がっていたが跡は残っていた。

 そして刺された場所はへその少し上のあたり。血の量を思い出すと致命傷のはずだった。

「なんでこんな傷がもう治ってるんだ?」


 するとクロが俺の横に落ちていた冒険者プレートのところに歩いて前足で動かした。

「あれ?確かズボンのポケットに入れてたはずだけど」

 なんとなくステータスを開いてみる。するとゴブリンやゴブリンロードを倒したおかげでそれなりに上がっていたであろうレベルが5だった。

「いやいや、おかしいだろ!スライム100匹で10超えたんだぞ。いくら数の違いがあるからってレベル1なんだからもっとレベル上がるだろ!ロードまでいたんだぞ!」

 思わず叫んでしまって俺のスキル欄にスキルが一個増えていることに気がついた。そのスキルは数時間前に火炎魔法とどっちを取るか悩んだ再生スキルだった。

「あれ?もしかしてクロがまたこれいじったのか?それにクロが持ってたのって高速再生だった気が·····

 もしかして失敗して普通の再生スキルになったのかな」

 そしてクロの方のスキルにも文字化けしていたスキルの一個が回復魔法になっていた。

「なるほど!お前がいろいろ頑張って俺を治してくれたのか!ありがとなー」

 お礼を言いながらさらにクロを撫で回した。そのまま10分くらい撫でていると流石に鬱陶しくなったのか手を思いっきり噛まれた。


「さて、そろそろ日も落ちるそうだし帰ろう!」

 そう言うと少し離れたところで毛繕いしていたクロが小走りで寄ってきた。

「そういえばお前のスキルいろいろ増えてたな。精神感応ってなんだ?やってみてくれよ」

 さっきステータスを確認した時に回復魔法の他にも何個かスキルが増えていたのでその中で一番気になったものを歩きながら聞いてみた。

「にゃーん」

 すると突然クロの声が聞こえた。しかし、クロは口を開けていなかった。

「うおっ!頭の中に直接流れてきてるのか?すごいけどなんか少し気持ち悪いな」

 その感想が気に入らなかったのか俺の足をベシベシ叩いてきた。精神感応スキルで鳴きながら。

「悪かったごめんごめん」

 慌てて謝ったがそれでもしばらくクロの攻撃が続いた。


 ギルドに戻ってゴブリンロードがいたおかげで報酬が上乗せされたお金を受け取って宿に戻るとそのままベットに倒れ込みそうになった。

「その前に、最後の仕事だ!」

 あえて声に出して力を振り絞ってクロを抱えてシャワー室に入って水を流す。 

 当然の如くクロは暴れたがそれでもなんとか今日一日の汚れを洗い流した。

 機嫌が悪くなったクロに魚をあげてようやくベットに入るとクロも頭の横で丸くなった。

 しばらく撫でていると俺もクロもいつのまにか眠っていた。

 

 

 


 

 

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