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ゴブリンロード

「ふぅー」

 全てのゴブリンが片付いたことに思わずため息が漏れる。

 一応辺りを確認しようと、なんとなく後ろを向くとゴブリンロードが後ろにあった木の上から大剣を振り上げながら飛びかかってきた。


「なっ!」

 他のゴブリンの対処に手一杯だったせいで完全に忘れていた。

 だが後ろに思いっきり跳べばまだ回避は間に合う。しかし、明らかに自分より強い相手の強烈な殺気に当てられて足を動かすことが出来ずその場に固まってしまった。

「グルァッ!」

 そんな俺にゴブリンロードは容赦なく大剣を振り下ろした。


 死ぬのを悟って思わず目を思いっきり閉じる。

 キィィイン!

 その直後、金属の高い音が響き渡り目を開けてとっさに状況を確認する。

 すると正面にいるゴブリンロードが驚きの表情で大勢を崩していた。

 さっきの音はあの大剣が何かにはじき返されたせいだろう。

 

 そこまでなんとか考えてから慌てて腰から短剣を抜くために柄を握った瞬間、俺とゴブリンロードの間を中心に全方位に向かって風が荒れ狂った。

 その風は飛ばされてそうになるほど強く、俺はなんとか踏ん張ろうとしたが逆らえずに飛ばされてゴブリンロードとの距離が広がり俺は地面に仰向けで倒れる。

 慌てて体を起こすと同じように飛ばされたゴブリンロードの前にクロが悠然と対峙していた。


 次の瞬間ゴブリンロードが大剣を振り下ろすと、クロは跳び上がって回避するとそのまま空中を引っ掻いた。

 それだけでゴブリンロードの体に深い爪の痕が刻まれ血が吹き出す。その血をクロは器用に避ける。

「今のは『ウィンドブレイド』か⁉︎」

 引っ搔く直前に一瞬魔法陣が見えたのでおそらく間違いないだろう。

 自分が傷つけられたことに怒り狂ったゴブリンロードが再び雄叫びを上げてクロに斬りかかるがクロはたやすく回避してウィンドブレイドでダメージを与えている。

 一匹の猫がベテラン冒険者でもてこずるゴブリンロードを圧倒している状況を見て冷や汗をかきながら呆然としていた。

 

 少しずつだがゴブリンロードの傷が増えていき動きが遅くなっている。

 いつでもとどめを刺さるように見えるがそれでもクロは相手の攻撃を回避して魔法で反撃するという姿勢を崩さなかった。

 その光景は肉食動物が獲物をいたぶって遊んでいるように俺には見えた。

 

 見ていられず思わず俺がクロに声をかけようとした時、クロの後ろの茂みから何かが飛び出した。

 それから金属に反射する光が見えたタイミングで俺は考えるのをやめて唯一の詠唱なしでつかえる魔法を使った。

「ブースト!」

 身体能力を強化する魔法だが、魔力を持続的に消費するため今はほんの一、二秒しか使えないが今はそれだけで十分だった。

 俺と茂みから飛び出して物とのクロまでの距離はほとんど同じくらいだったが、魔法のおかげで一瞬早くクロとそいつの間に割って入る。

 その直後、茂みから飛び出してきたのがホブゴブリンだということが分かると同時に、そのホブゴブリンが持っていた剣が買ったばかりのブレストプレートを貫き、勢いそのままに俺を貫いた。


「かはっ!」

 口から血を吐き出すして膝をつくとホブゴブリンが剣を引き抜く。

 引き抜くと刺されていた場所から一気に血が吹き出して遅まきながら致命傷であることに気づく。

 さらに膝立ちでもいられなくなりうつ伏せに倒れ地面に血溜まりが広がっていきどんどん意識が遠くなっていく。

「キッキッキッ!」

 そんな中でも俺を刺したホブゴブリンの笑い声だけがずっと聞こえてくる。


 血を流したせいか冷たく感じて死ぬんだなと思っているといつのまにかホブゴブリンの笑い声も聞こえなくなっていた。

 とうとう視界がぼやけはじめ目が閉じそうになる直前俺の目の前に二つの塊が落ちてきた。

 それは俺を指したホブゴブリンとクロと戦っていたはずのゴブリンロードの凍りついた首だった。

 それを最後に俺の意識は完全に途切れた。

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