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逃走5

 大きな穴が空いた壁と煙の中から一つの小さな影が飛び出してきた。

「クロだ!」

 距離もあって見えにくいがあんなことができるのはクロしかいない。

 クロは猫の姿で地面を蹴るとそこがひび割れるほどの勢いでこっちに向かって走ってきていた。

 しかしその後ろから勇者も壁の中かは飛び出してきた。

「あの子、なんか前より全体的に能力上がってない?それよりバトラー、テレポートの詠唱すぐ始めて!クロが範囲内に入ったと同時に飛ばして」

「了解しました」

 バトラーは指示通りに俺が聞いたことのない上に長い詠唱を始めた。


 クロは一瞬後ろを見て勇者が壁から出てきたことを確認すると、壁だった瓦礫が一斉に宙に浮いて勇者に向かって一直線に動き出した。

 勇者は切り落としたり交わしたりしているが数が多い上に、魔法ごと切っても再び同じ魔法で動き始めるせいで切れば切るほど数が増えていって、とうとう身動きが取れなくなった。


 するとクロは亜人の姿になって勇者の方に振り向いて足を止めた。そして右手を頭上に上げて瓦礫をぶつける魔法を維持したまま、別の魔法の詠唱を始めた。

「あれ、二重詠唱ね。だけど何するつもりなんだろ?」

「二重詠唱って一回本で見たことあるな。たしか二つの魔法の詠唱を同時にやっるんだったっけ?」

「そうよ。けどできる人なんて世界中探しても数十人くらいじゃないかしら。でも今みたいに他の魔法使いながらできるのは間違いなくクロだけよ」

 やっぱりクロはかなり凄いようだ。今度なんか同時に魔法使えるか聞いてみようと考えながら見守っているとクロが思いっきりジャンプした。

 それと同時に右手に巨大な魔法陣が構築されて、そこに魔法陣よりも大きい水の塊が出現した。


「危ないから周りに壁作って防いでね」

 頭の中でクロの声が聞こえた。水の塊を落とすつもりらしい。

「え!バトラーすぐ壁作りなさい!」

「お言葉ですがエリザベート様、今壁を作るとテレポートを破棄しないといけません」


「そうだったわね!レイジはできないの!?」

「土属性の魔法は塊作るくらいしかできないよ。エリザベートはできないの?」

「できないわよ!そもそもさっきのでもう魔力ほとんど残ってないし」


 なんか逆ギレ気味に返された。それにエリザベートみたいに強ければ魔力もたくさんありそうだが。

「怪我したわけでもないのになんで魔力切れなんだよ?」

「あんたやクロと違ってあたしの再生というか不死身や、血の操作は吸血鬼としての体質みたいなもんだから魔力はいらないわよ。けどなんでか知らないけどもともとの魔力量が少ないのよ」


 血の操作と聞いてあることを思いついた。

「なぁ、血を操って壁みたいにできないのか?」

「無理よ、剣みたいにまとめるくらいなら大丈夫だけど薄く広げたりするとすぐ水に流される。相性が悪いのよ」

 

 俺らが慌てながらどうしようか考えていると突然足元に魔法陣が現れて周りの地面が筒状にせり上がって3メートルくらいの壁になった。

 クロが俺たちの中に作れる人がいないことに気がついて作ってくれたようだ。


 クロは壁が完成したことを確認すると腕を振り下ろした。

「フラッド!」

 壁の上から頭を出して見ていると水の塊は膝をついていた勇者の目の前に落ちた。

 水は一気に広がってまるで洪水のように周りを押し流した。

 それとほぼ同時にクロが次の魔法を発動した。

「アブソリュートゼロ!」


 そしてあたりの気温が一気に下がった。直前にあたりに広がろうとしていた水が一瞬で凍るほどに。

「ファイアプレース!」

 凍死しそうなほどの寒さに俺が慌てて周りを暖かくする魔法を使って壁の中の温度を少しでも上げるがそれでもまだ寒かった。

 

 壁の向こうでは勇者は腰の少し上と手が水ごと凍らされていた。

 クロはその勇者から何かを回収するとすぐに壁の中にやってきた。

「ふー寒い寒い。久しぶりエリー!バトラー!ただいまレイジ!」

「久しぶりね、クロ」

「おかえり、怪我はない?」

「大丈夫、大丈夫。けど流石に魔力がきついから猫に戻るね。その前にはいこれ」

 といってもクロは俺に何かを差し出した。


「あ、これ魔法式拳銃だ」

「お気に入りのナイフ壊されたでしょ。だから代わりに勇者から貰ったんだ」

「それは多分奪ったんだよ。うーん返さなくていいのかな、けど一応敵だしなー」

 悩んでいるとエリザベートとバトラーが横から珍しそうに見た。

「へー、これ面白そうね。いいんじゃない、もらっちゃって。戦利品ってことでさ」

「私もそれでいいと思いますよ」

「エリーとバトラーさんが言うならそうしとこうかな」

「じゃあ行きましょうか。勇者もそろそろ動き出しそうな気がするし。バトラー、テレポートして」

「はい、皆さん魔法陣から出ないようにしてください」

 するとバトラーを中心に魔法陣が現れた。俺は何があっても出ないように出来るだけ中心にやっていると突然エリザベートが叫んだ。

「って!なんであんたまであたしのことエリーって呼んでるのよ」

 それと同時に魔法陣が目を開けられない程の光を放った。

遅くなりましがあけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!

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