表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

テイマー

「·····レイジさんのクラスはテイマーです」

 冒険者の町ビギニングのギルドで冒険者登録を終え、クラスの適正を調べる魔道具で出てきたクラスを美人なギルド職員が困惑気味に告げた。

「えっと·····、なんですか、それ?」

「少々お待ちください。調べてきます」

 聞いたことの無いクラスに戸惑いながら尋ねると、職員の人も分からなかったらしく事務所の奥に入っていく。


 この世界は少し前まで魔王が人類を脅かしていたが数年前に勇者に討ち取られた。しかし、モンスターなどは未だに存在し人々に被害を与えていたため冒険者という職業が存在した。


 俺は夢だった冒険者になるため成人と同時に田舎から冒険者の町として有名なビギニングに半月かけて到着した。

 その頃には路銀も底をつき、食料もほとんど無くなっていたが幸いビギニングに到着したのが昼前だったため直ぐに冒険者登録を済ませクエストを受けることにした。


 俺は簡単な初級魔法が使えるから魔法職がいいなとわくわくしながら登録して、いよいよクラスの適正を調べてみると聞いたことも無いテイマーという役職だった。


 テイマーという役職がどんなものかと期待に胸を膨らませているとギルド職員が分厚い本をもって戻ってきた。その本をカウンターに置くと説明しはじめた。

「この本は魔道具で魔力を流す事でその人の役職がどんな物かを調べる事ができます。早速表紙に手を当てて魔力を流し込んでみてください。」

 

 魔力は誰もが持っているもので操作する事ができ誰でも魔道具を使う事ができる。しかし、魔法は才能に左右され使えない人も多い


 言われた通り本に手を置き魔力をながす。10秒ほど流し続けると突然俺の手を跳ね除けて本が開いた。

 一気に最後のページ近くまで開き止まった。そこに文字が浮かび上がってきてそれをギルド職員が読み上げる。


「えーと·····、『テイマーは動物やモンスターを手懐け、眷属とする事ができる。テイムできる動物やモンスターは持ち主のレベルに左右される。』と書かれてますね。あれ?獲得できるスキルが書いてませんね。後ろのページにあったので所有者が少なくて情報が無いのか、スキルの獲得が出来ないのかもしれないですね」

「え?ウソだろ?じゃあずっとこれだけで冒険者やっていかないといけないのかよ」


 スキルが取れないということのショックが大きすぎて普段はほとんど言わない独り言を言ってしまった。

 スキルとは役職に合わせてレベルが上がると獲得できる能力のことだ。剣士だったら斬撃を飛ばしたりできる。


「で、でもテイムて言う手懐けるのがレベルに左右されるなら強力なモンスターもテイムできるってことじゃない?それに情報が無いってだけかもしれないし」

 俺のあまりの落ち込みようにギルド職員の人が慌ててフォローする。

「そうか、だからスキルが取れないのか?ありがとうございます!俺、がんばります!」


「うん、がんばってください!あ、これを渡すのを忘れてました」

 そう言って薄い鉄でできた小さい楕円形のプレートに紐を通した物を渡してきた。

「これは冒険者プレートと言って魔力を流す事でレベルなどのステータスやスキルを見ることのできる魔道具です。身分証にもなりますので肌身離さず持っていてください」

「わかりました。ありがとうございます」

 受け取りながら試しに魔力を流してみる。するとプレートが光り、空中に文字が浮かんだ。


「えーっと、役職テイマー、レベル1、筋力10、魔力30、体力15、敏捷10。これって他の冒険者と比べてどうなんですか?」

 自分が現在どの程度なのか気になったので尋ねてみると、職員が少し驚いていた。

「ほとんど平均だと思います。ただ魔力が平均の倍はあります。最初からこれだけ魔力があれば魔法系の役職になると思うんですけど·····」


 俺がなりたかった役職が出てきて再び気分が沈みそうになるがなんとか気を取り直す。別に役職じゃなくても中級以上の魔法が使えたらする人だっているのだ。


「そうですか。ありがとうございます。」

 俺はなんとか笑顔でお礼を言う。

「はい、初心者の冒険者のほとんどは最初は中級などの冒険者のパーティに入れてもらいセオリーなどを教えてもらったりするのでレイジさんもそうしてみてはいかがでしょう?昼過ぎですがまだ少しはいると思うので」

「わかりました。そうしようと思います」

 そう言ってすぐにギルド内にいる冒険者達の所へと向かった。


 結果は悲惨なものだった。

 役職のせいでもあり「いくら初心者でも聞いた事もないしよくわからない弱そうな役職のやつをパーティに入れるわけにはいかない」と言った感じで全ての冒険者がギルドからいなくなるまでどのパーティにも入れてもらえずに夜になってしまった。

 ギルドは既に閉まり、お金もないので宿に泊まることをできず俺は路地裏に座り僅かに残った食料を食べていた。

 今日でどのパーティにも入れてもらえない事がわかったので明日簡単なクエストを一人でやることにした。

 

 明日のことを考えながら保存食を食べていると奥の暗闇から黒い子猫が現れ俺の方によってきた。

「ん?食べたいのか?そういえば一匹だけか。親とかはどうしたんだ?」

 俺が手に持っていた保存食をずっと見つめていたのでそれを口に近づけてみると匂いを嗅いでぼりぼりと食べはじめた。

 

 ·····そういえば動物にもテイムは使えるんだったな

 ふと思いついてなんとなく頭に浮かんだ通りに子猫に手を当て魔力を流すと首に首輪が現れた。

 魔力を半分ほど使ったがこれでテイムができたらしい。

 子猫はそれに気づいたのかなどを鳴らしながら

「にゃー」

 と鳴いて俺の手に前足を置いてきた。どうしたんだと思ったらその手に持っていた保存食を入れてある袋を見ていた。おかわりだったらしい。

 仕方ないのでもう一個あげると嬉しそうに喉をさらに鳴らしながら食べ始めた。

 

 名前を決めないといけないなと思い一生懸命保存食を食べる黒い子猫を見つめる。

「よし、お前の名前はクロだな!」

 少し安直かとも思ったが名前をつけるのは苦手なので仕方ない。

 クロは保存食を食べ終わるとあぐらをかいて座っていた俺の足にのって寝始めた。

 それに釣られて俺も壁にもたれかかってすぐに眠ってしまった。


 朝日の眩しさで目を覚ますとクロは既に起きていて俺の正面に座っていた。

 俺が起きるのに気付くと鳴きながら頭を擦り付けてきた。それに少し寝ぼけながら頭を撫でる。

 朝ごはんを食べて立ち上がってクロを見ると再び頭を足に擦り付けていた。

「よし、いくぞクロ、初クエストを受けに!」

 するとクロは俺の横をを小走りで着いてきた。

 

 ギルドに到着すると既に冒険者がカウンターでクエストを受けるために並んでいたのですぐに最後尾に並ぶ。

 俺の順番になりカウンターの前に立つとクロはその上に飛び乗ってきた。

「あー、ダメだろ!すみません。」

 クロを下ろしながら謝るとギルド職員の人は少し驚きながらも笑っていた。

「テイム使ってみたんですね。」

 その職員は昨日俺の登録を担当してくれた職員だった。

「はい、気になって使って見ました。それで一人でクエストを受けたいんですが、簡単なのとか初心者向けのってありませんか?」

「あー、パーティ入れてもらえなかったんですね。教えるのを忘れてましたがクエストを受ける時はカウンターの横の壁に貼られている紙から選んでこっちに持ってくるんです」

 ギルド職員が言った所を見てみると確かに沢山の張り紙が貼られていた。

「そうだったんですか。すみません。並び直します」

 謝って張り紙の方へ行こうとすると慌てて呼び止められた。

「あっ、待ってください。今回は私の不手際なので。さっきご要望にぴったりのクエストが入ったのでそれを受けてみませんか?」

 さっきと言う事はまだ貼られていないのだろう。

「ありがとうございます!どんなクエストですか?」

 初クエストに興奮しながら尋ねるとギルド職員が紙を差し出してきた。

「スライム討伐です!」

 ギルド職員がそう言ったのと同時にクロが再びカウンターに飛び乗りその紙の上に香箱座りをした。

 

読んでいただきありがとうございます。

更新は不定期ですが以前から投稿している作品と交互にやっていこうと考えているのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ