13.取り返しのつかないこと
グローム「一体、何をするつもりだ?」
グロームは首を傾げ、真剣な眼差しでギアを見る。
ギア「ダンスの父親の会社に行って、直接話をつける。」
グローム「追い出されるに決まってるだろ。」
ギア「警備員でもなんでもぶっ飛ばしゃあいい。」
ギアの作戦はあまりにも軟弱なものだった。
ギア「決行は明日だ。会社の前集合だ、遅れるなよ。」
ギアが帰った後、グロームは一人で空を見つめる。
冷たい風が吹く。
ーーーー翌日
二人は約束通り、会社の前に集合していた。
グローム「ギア、やるんだな。」
ギア「当たり前だ。あいつのために...。」
会社の前にはもちろん警備員がいる。
正面突破しかありえない。
ギア「行くぞ!」
走っている音が大きく響く。
ギアの飛び蹴りが警備員の顔面に入り込む。
ギア「おい!ダンスはどこだ!!」
ダンスと父親が上から二人を見つめる。
ダンス「あいつら...。」
父親「その二人を追い出せ。」
ダンスは父親の顔をしっかりと見つめる。
ダンス「話をつけさせに行かせてください。」
父親「分かった。」
ダンスはすぐ駆け下りて一階に向かい、二人の前に来る。
ギア「ダンス!帰るぞ。」
ダンス「ふざけるな!!なんで来た?」
二人の想像とは違う返事だった。
ギアはてっきり喜んでくれるものだと思っていた。
ダンス「私はもう悪夢を抜けた身だ。もう私に関わるな。」
父親「そういうことだ。」
ダンスの後ろに視線をやると、そこには父親がいた。
父親「二度と娘に近づくな。おい!こいつらをつまみ出せ。」
そう言い放たれると、警備員たちは二人を取り押さえる。
まるで抵抗しない。
二人は会社の外に投げ出される。
その日の夜、隊長達のみの緊急集会が開かれた。
グローム「隊員たちはいない。そりゃそうか。」
キング「なんでこんな状況になっているのか想像はつくな?」
落ち着いた眼で二人を見るキング。
ギア「ああ、分かってる。」
キング「ふざけるな!やめろと言ったはずだ!俺に任せておけばダンスは取り戻せた!なのに..お前らはぁぁぁぁ!」
珍しく感情的になるキング。
ギアとグロームは座って頭を下げた。
ギア「本当に申し訳ない。この計画を立てたのは俺だ。罰を受けるなら俺だけにしてくれ。」
グローム「関係あるか。乗ったのは俺だ、もちろん責任はある。」
キング「お前ら二人の慰め合いなんかどうでもいい。」
落ち着いた目は冷たい目と変わっていた。
キング「お前らは謹慎だ。俺が来いというまで顔を見せんじゃねぇ。」
二人は黙って出て行った。
ガンジュ「キング。」
キング「ああ、大丈夫だ。さてどうしたものか。」
キングは頭を悩ませる。