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2話「右隣の席、御手洗あらいちゃん」

 俺の名を呼んだのは右隣に座っていた女の子だった。背丈は不覚ながら俺と一緒ぐらいで(百六十センチぐらいだろうか)、髪は黒髪のボブヘアーながらも多少の灰色とした髪が混ざっていた。お尻にアクセサリーをつけているのだろうか、黒白の尻尾のようなものをつけていた。

 最近の高校生の流行なんて分からないから、なんとも言えないけれど、流行っているのだったら流行に乗ったほうがいいのかな?

 俺はそんなことをまじまじと彼女を見ながら考えていたら、目の前にいる彼女は俺の顔付近に手を振りだした。

「聞いてる?才川君?ねえ、ねえ?」

「……、ああ、聞いてるよ。……御手洗おてあらいアライさんだったけ?」

「そう!、名前覚えててくれたのね。嬉しい」

 アライはニコリと笑みを浮かべる。そんな笑顔を見た俺は何だが胸の奥がドキドキしてきていた。

 落ち着け俺、これはただのクラスメイトが話しかけてくれているだけなのだ。ああ、足が震えている気がする。もしや、これは友達を作るチャンスなのでは?い、いや、もしかしてこ、ここ、恋人になるかも……。

 俺の心は知らぬ間にヒートアップする。こんな気持ちは初めてだ、ドキマギする。よく見たらこの子可愛いぞ。いやいや、ダメだ最初からこんな異性交際なんて、そんな……。


「どうしたの?そんなに顔を真っ赤にして?熱でもあるの?」

 アライは顔を近づけてきて、俺の顔を下から見てくる。ドキュンと何かに心臓を突かれた音が俺の胸元から聞こえてきた。

 俺はふぅーーーーーと長い息を吐いた。首をぶんぶんと振る。紳士にならないと是非とも友達になるんだ。

「よし。なんだい?俺に何か用かい?」

「う、うん、才川君に折り入ってお願いがあるんだ。君しかお願いできないことなんだ」

 お、これは紳士な対応が出来ているのだろうか。自信を持て、堂々とするんだ。やれば出来る。ラピュ〇で言ってたじゃねーか。「お前ならやれば出来る」っておっさんが。

 俺は瞬時に心を落ち着かせる。やれば出来る。やれば出来る。才川、お前は男だろ。

 気持ちを込めて、肩に力を入れて、目をきょろきょろとさせながら勢いよく言った。

「なななな、なんでも言ってごらん?」

 めっちゃ噛んだ。恥ずかしい。これが長年、人と接してこなかった障害なのか。うう、さすがに目の前の同級生も笑ってるだろう。恐る恐る目の前の彼女を見た。

 思った通りだった、顔を真っ赤にさせていながらうつむいている。絶対笑われてる、ああもう帰りたい、布団の中でくるまってたい。

 ジッと同級生を見つめながら居ると、うつむいていた同級生が顔を上げ、口を開ける。

「あ、あの、もしよければ、君の、才川君のズボンのポケットに入っているハンカチ貸してくれないかな?」

 そう目の前にいる同級生アライは言うと、目を輝かせながら口を少し開け、物欲しそうな表情をしながら俺を見ていた。

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