第97話 愛の戦士VS欲望のカリスマ
完全決着です。バカバカしい仕上がりぃ
増田が負けた……
俺よりも、誰よりも強い増田が……
増田は今、鼻血を出して自身が倒した敵と共に倒れている。
「やっぱ増田は強いな。うちの兵隊が全員やられちまったよ。でも俺にたどり着いた時にはもう体力限界のフラフラだったけどなっ」
加藤!……この男によって。
「加藤ォォォ!残ってるのはお前だけだ!負ける覚悟は出来たかよ!」
「野田ァ?……そうか、高橋は負けたか。威勢がいいな。高橋に勝ったぐらいでいい気になってんじゃないよ」
こいつ妙に落ち着いてやがるな。
「俺と高橋の力の差は、ベジータとナッパぐらいあるんだよ。お前がもし一撃で高橋に勝ってたとしても俺には攻撃を当てることすら出来ん」
嘘だ。虚勢を張ってるだけだ。
加藤も必死なんだな。
「俺がそんなんでビビるとでも思ってんのかよ。加藤こそ増田に勝って調子に乗ってんじゃないのか?増田が烈海王だとすると俺はピクルだぞ?調子乗ってると喰うぞ?」
俺はわかりずらい例えで応戦。
「全ての元凶はやっぱお前だ!加藤ッッ!お前は必ず倒さなきゃダメなんだよ!」
そうだ。コイツの底無しの性欲のせいでこんな事が始まったんだ。
確かに誰だって女湯は覗きたいぜ?でも普通は皆、思うだけで実行しないんだよ。
いちいち建物の見取り図を手に入れたり、現地調査したりしないんだよ。組織的に念入りに計画を立てたりしないんだよ。
裸を見たい気持ちより理性が勝つんだよ。
それが加藤のせいで狂ってしまったんだ。
皆、狂わされたんだ。
あの底無しの性欲で皆の性欲を膨れ上がらせたんだ。
なんて恐ろしい奴なんだ。
やはり死んでも止めなくてはならない!
「俺が元凶だと?確かにその通りかもしれねぇな。でも高橋は違うぜ?あいつはお前のせいでああなったんだぜ?そこんとこ理解してるか?お前も加害者なんだよ。いや、違うな。俺は自分に正直なだけだ。高橋以外の奴らも自分の心に正直になっただけだ。俺はキッカケを与えたにすぎん。よって加害者はお前だけなんだよ!」
ここにきて正義面するかよ。でも完璧に悪役の調子だぞ。
高橋は加藤の言った通り俺のせいだが、そんなことで俺の心は折れん!
そんなこと指摘されたぐらいでダメになるほど精神力は弱くねぇよ!
「自分を正当化しようとすんじゃねー!」
「黙れぃ!俺こそが正しいんだ!修学旅行という非日常が産んだ奇跡!同級生の裸!普段、同じ教室で苦学を共にしている同級生!こんなに身近な人の全裸!堪らんだろうが!想像出来るか!?出来ない!どんな妄想力を持ってしても出来ない!これほど魅力的なものがこの世にあるか!?無いね!はっきり言える!」
熱すぎる意志がビシビシ伝わってくる。
ヤバすぎる。
加藤の視姦はレイプと同じレベルだ。やはり絶対に阻止しなければッッ!
「高校二年生が最高なんだよ!この期を逃したらダメなんだよ!皆がスタイルいいわけじゃない!俺達がお世話になってる画面の向こうの女優さんの裸に比べりゃ数段質が落ちるだろう!現実にいる女にボンキュッボンなんて殆どいないんだよ!でもな、その不格好さが逆に良いだろうが!リアルを与えてくれるじゃねえか!最高じゃねぇか!」
なんなんだコイツは!?
コイツの妙に引き込まれる謎の話術はなんなんだ!
納得しちまいそうだ。これ以上喋らすのは危険だ。
こっちから仕掛ける!
「いつまで舌戦を続けるつもりだ?そろそろいくぞ!」
山崎さんは必ず守る!
「こいやァァァ野田ァァァァ!」
ファーストコンタクトで勝負を決める!
高橋のように掌打で決めるか?ダメだ、あれは運がよかっただけだ。二度も奇跡は起こらない。
いや、そんなことは考えるな。
マイナス思考はよせ!
俺には守らなくちゃならないものがあるんだろ?
『山崎さん』
この人の為だったら何だって出来る。
誰にだって負けない。
そうだ、勝ちに急ぐ必要はないんだ。
女子が風呂からでるまで時間を稼げれば俺の勝ちなんだ。
「時間が無いんだ……つかみ合いはしないぜ」
クソッ!加藤はソッコーで決めにくる!
やはり完全勝利しかない!
覚悟を決める!
小細工は無しだ!
いくぞ!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァァァ!」
注:俺
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァァァァァ!」
注:加藤
「グハァア!」
う、打ち負けた…ッッ
何故だ!?チクショウ!
俺が山崎さんを守るという意志より加藤の裸への意志が勝ったというのか!?
「行かせ……ねぇぞ…」
「死人が何をほざく?勝ったのは俺だ。おとなしく寝てろや…」
「チク……ショウ…………」
すまない、山崎さん。
もう体に力が入らねぇ。頭にいいやつ貰いすぎたかな……
ガチャ
「野田くーん!トランプやろー!だいふごー!だいふごー!」
え?
「わっ!何があったの野田くん!皆、倒れてる!」
山崎さん?山崎さんだぁ。
「高橋まで!どうしたのよ!」
町田もいるのか。
「増田くんなんて鼻血ブーだよ?」
武さんも。
「何で加藤くんだけ立ってるんだい?」
島さんまで来てるじゃん。
よかった。間に合ったんだ。
「ホントによかっ…た……」
野田マサル、人生初のブラックアウト……失神……
「チクショォォォォォォ!」
記憶が途切れる瞬間加藤の叫び声が聞こえた。
チープなオチですか?…コメディーだからまあいいか!野田の最期は失神より気絶って書いたほうが正しいですね。まあいいか!…………作者は女湯覗きのチャンスを逃した友人を一晩中なぐさめてた事があります。