第96話 男達の祭
前話の続きです。長くなるかもね…
山崎さんの裸を守る!
これが俺の戦う理由だァ!
他の女子のならどんだけでも見て構わん!山崎さんだけは許さんのだ!
「お前らは死んでもここから通さねえ!」
「裏切りかぁ野田ァ?そんなことが許されるとでも思ってんのかあああああ!第一お前一人でこの人数をどうする気だ!テメェは無力なんだよォォォ!」
加藤が吠えた。
確かに、そうだ。俺一人で何ができる?
十五匹の栽培マンVSヤムチャ
ヤバさで言えばこれくらいだ。
これくらい無謀だ。
でもな……逃げることはしちゃならんのだよ!下がることはできんのだよ!
俺は後退のネジを外してあるんだよ……!
だから
「こいやァアアアアア!栽培マンどもォォォ!」
これほどの人数だ。正面から殴り合っても勝てない。
智力を尽くせ。勝つならそれだ。
己の中のあらゆる妖刀を抜いて戦うんだ。
「栽培マン?何の事だ?……いや、いい。お前の覚悟を評して全員全力でお前を全壊してやる!行けェ!野郎共!」
遂に来る!
しかも全員全力だと!?
どうする?
考えるんだ考えるんだ。
俺は女子が風呂から出るまでこの部屋から奴らを出さなければいいんだ。
敵の戦力は?
雑兵十一人……戦力D
高橋……戦力C
加藤……戦力B
増田……戦力A
肉……戦力外
目の前にいる相手の戦力を瞬時に見抜く才能が俺にはあった。
そして自分自身の戦力さえ正確に客観的に計ることができる。
俺は……いつもの俺ならD、下手するとEだが……覚悟が違う。今の俺は加藤とだってタメ張れる!
守るものがある人間は強い。偉大なのは愛の力!
愛の力……?
それを利用しない手は無い。この絶望的な戦況をひっくり返せるかもしれんぞ!
「増田ァアアアアア!よく聞けぇ!お前はソレでいいのか!?お前には本当に好きな人がいるだろ?そんな人がいるにも関わらずお前は他の手頃な女で性欲を満たそうとするのか!?そんなんでいいのかよ!それはその子に対する裏切りではないのか!?」
増田を仲間に引き込む。
成功すれば活路が開く!
「一時の快楽の為、真実の愛を汚すつもりか!?間違ったことだと気付いてくれ!今ならまだ間に合う!」
増田の想い人は実の妹だ。危ない領域だと思うが、奴は本気だ。
本気で愛してる。
禁断の恋であるほど燃える……とはよく言ったものだ。
他にも好きな人がいる奴はいるだろうが、俺は増田だけに呼び掛けた。
何度も言うように増田は超本気だ。だから必ず俺に応えてくれる。
他の奴とは違う。
しかも、増田の戦力が手に入れば他は十分だ。
さあ来い増田!
「野田、ありがとう。よく気が付かせてくれた。………一緒に戦わせてくれ」
よっしゃ来た!
さすが愛の戦士だ!
でも……俺のせいで妹への想いが一層強くなった気がするんだけど…
それはそれでダメだろ!
まあいいか!
「あいつらにも自分の過ちを気付かせてやれ!」
「おう。野田、これだけの人数だ、つかみ合いだけは避けろ。なるべく一発で決めるんだ。鼻か前歯を狙えば動きは止まる」
「お、おう」
場慣れしてやがる。
やっぱ頼りになるぜ。
雑魚を三人倒した直後ある男が俺の前に立ちはだかった。
「……高橋か」
高橋……筋力・スピード共一般レベルだが190センチ近い高身長から繰り出されるリーチのある攻撃を持つ男だ。
それに、どんな理不尽にも立ち向かう(ツッコミ)強い精神力の持ち主だ。
強い。中ボスといったところか。
でも中ボスどころで立ち止まってる場合じゃねぇ!
ボス(加藤)を倒すまでこの祭は終わんねぇんだ!
「驚いたぜ。常に理性が働くお前は女湯覗きなんてしないと思ってたのによ」
「いつもの俺ならしなかったさ。でもな、やらなきゃならんくなったんだよ!テメェのせいでよォォォ!」
俺!?
「今、こんな噂があるのは知ってるか?俺がホモだとよ。広まってるんだが…………こんな嘘流したのはお前だろうがァ!昨日まで普通に喋ってた奴が次の日、急によそよそしくなったりするんだよ!一部の女子が興奮しながら好きな男子とか聞いてくるんだよ!攻めか守りか聞いてくるんだよ!俺はそんなんじゃねーよ!俺はその度に嘘だって言うんだけど、男子は信じてくれるんだけど何故か女子はなかなか信じてくれねぇんだよ!」
疑惑のガチホモ同級生〜男でも子供が作れるって知ってたか?〜
なんか気持ち悪いタイトルみたいなのできたんだけど……
やべっ!今、こんな事言ったらマジで殺されるわ。
てか、高橋のゲイ疑惑は俺、広めてねぇぞ。言い出したのは俺だけどね。
「今、この学校で俺がゲイじゃないって分かってる女子は町田と山崎さんと武さんだけなんだよ!」
そんなに深刻なのか!?
高校の間に彼女作るのは諦めたほうがいいな。
「だから俺は俺の為に女湯を覗く!女の子大好きギャル大好きオッパイ大好き!……俺はホモじゃないって証明しないかんのじゃあァアアアアア!」
こいつも己の中の大事なものを守るために戦っている……甘く見ることはできんな。
「だから俺は女湯を覗く!そんでわざとばれてやる!女子共に俺がオッパイ大好き高校生だって教え込ませてやれるチャンスなんだよォォォ!だから俺を止めんな野田ァ!」
ガチホモのレッテルを貼られたままより覗きをして最低なウンコ野郎に成り下がる方を選んだのか……覚悟は相当なんだな。
感情によって戦闘力が上がってるのがひしひしと感じるぜ。
でもお前じゃ無理だ。
愛の力嘗めんな。
じゃんじゃん力が沸き上がってきて今の俺はタイマンで負ける気がしねぇんだよ。
ビンタァァァァァァァ!
バチィィィン!
「一撃だ…」
俺は向かってくる高橋に合わせてビンタ…いや、どちらかというと掌打をこめかみ付近に放ち一撃で屠り去った。
……大丈夫だ、高橋。お前には町田がいる。
今はゆっくり寝てろ。
増田は!?
増田の足元には無数の亡きがらが転がっていた。
マジかよ…この数を一人で倒したっていうのかよ…
しかし、最も驚くべきはその増田が一人の男に押されていたことにあった。
加藤…………ッッ!
無駄に熱いセリフ書きすぎましたね。作者は中二病なんです。