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第92話 アイデンティティティティティー

「思ったんですけど、クラスにとって最もいらない奴が空港に残ればよかったんじゃないでしょうか?」

どうも高橋です。

土屋先生に話しかけます。


土屋先生は教師のくせに俺を無視して本読んでます。

さっき俺も暇なので貸して欲しいと言ったら嫌だと言われました。大人のくせに…



「何ですか、その考え?」

先生は本を閉じ、俺のほうを見ました。

その時、本のタイトルが見えました。


『失楽園』


古っ!………まじかい。

そりゃ生徒に貸せねえわな。

てかそんなの読むなよ。教育者だろ?新婚さんだろ?新婚さんは読んじゃダメだろ!


うーーーん、今は見なかった事にしよう。今は突っ込まないでおこう。

そんで旦那さんに会う機会があったら教えてあげよう。



「誰が一番必要ないかちょっと考えてみます。聞いてて下さい」

「教師として生徒がこーゆー事話すのはあんまりよろしくない事ですが暇だからいいでしょう」

「まず女子は除きます。女子に対しこんなこと言うのは失礼ですからね」

「紳士なのね」

「はい。俺は紳士なんです。最初に『名前もないクラスメイトたち』………主にエンペラータイムに登場する奴らですね。コイツらは名前がないばかりかキャラも立ってません。何人いるかもわかりません。いりません。しかし、そんな奴らだからこそ空港に残す事はできません。残したところで面白い働きなどできません。こーゆー役は与えられません。与えたところで作者が新しい名前とキャラを考えないといけないのでめんどくさくて無理です。コイツらは空港には残せません」

「ちょっと違う人格出てない?」

「気にしないで下さい。次からは真面目にいきます。次は、『加藤』………異常性癖者として、露骨な変態野郎として、悔しいですが男子の支持率は高いです。何たって男子高校生の会話の八割は下ネタですからね。女子からの人気は低いんですがね………まぁ不本意ながらそれも含めてクラスに必要な人材ですね」

「加藤くんね………私もエッチなのは苦手なのよね」

失楽園読んでる人が何を言う!


「次は『水野』………まぁ形なりにも学級委員ですからね。必要でしょう。いや、形だけの学級委員なんていらないかもしれませんね。保留」

「水野くんの説明は短いのね」

「はい。特にキャラの立った奴ではないのでね。ミス・ダブルフィンガーに似てる彼女がいることが唯一の特徴でしょうか」

「水野くん自体は普通の子なのね」

「はい。じゃあ次は『増田』………イケメン代表ですからね彼は、加藤と反対に女子からの人気も高いですしね。普段無口ですからたまに吐く言葉の威力も心強いですし。必要です」

「増田くんは勉強もスポーツも良く出来て、礼儀正しいから先生達の間でも評判がいいのよね」

「さすが増田ですね」

妹を本気で愛してる事は伏せておこう。

「次は『中沢』………モー娘。とかAKBとかよりなでしこジャパンの方が遥かにカワイイと言うとんでもない男ですね。結構要らない人材かもしれませんね」

「なでしこジャパンに失礼よ」

「ゴメンなさい。次は『田中』………優等生ですね。スガさんの事が好きじゃないらしいです。だからこそクラスには必要ですね」

「私の事が嫌いな生徒もいるのかな?」

「いたとしても教えませんよ」

「知りたくないです」

「じゃあいいです。次は『野田』………クラス自体に有益な人物かどうか言わせると微妙ですね。山崎さんのおまけみたいなもんですし。山崎さんがいなけりゃ小虫ですよなんな奴」

実際にそうだろ?

「キツイこと言うのね。友達でしょ?」

「友達だからといって評価をひいきするわけにはいかないですよ。というか本来なら空港に残るべきは野田でしょう。一応この小説の主人公ですし、普通なら一番不幸な役回りは野田がやるべきでしょう」

コメディーならなおさらだろ?

「また違う人格出てない?」

「おっと、失礼。では僕の考えはこの辺ですね」

「あら、一人やってないわよ。高橋くんよ。私がやってあげるわ」

「よろしくお願いします」

「『高橋くん』………ツッコミね。もうツッコミを取ったら何も残らないぐらいのツッコミね。君のアイデンティティそのものね」

「やっぱそうですか」

「自覚してるのね、偉いわ。でもね、ツッコミなんて実は誰だっていいの。誰だって出来るのよ。ボケはね、そのキャラに合ったものを用意しなくちゃダメだけどツッコミなんて誰がやっても同じ。違和感なんてないものね。だから………先生としてはこんなこと言いたくないけど、クラスにとって一番要らないのは高橋くんかもね。残念だけど空港に残るべくして残ったのかもね。今も雲の上で君の代わりにツッコミとして機能してる子がいるだろうね」



「………俺、次の便乗るのやめておきます。こっそり家に帰ります。お土産はいりません」

「そんなにいじけないの!キャラに合ってないわよ!………プッ……」

笑った…

「もういいです。クラスの奴らの飛行機なんか(ふすま)に襲われればいいんだ。獣の槍の少年はいないんだ。誰も助からない」

「衾もいないわよ」

「先生が乗る飛行機にジョセフ・ジョースターがいればいいんだ」

「卑屈ね。わかりにくいネタを出して」

「もういいです」



もういいです。


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