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第87話 妄想彼女

作者はつくづく恋愛小説かけないと思った

「野田、今日は俺にやらせてくれ」


「高橋か、いいぞやってみろ!」



「かなり嬉しいことが起きた!

嘘なんだけどさ!



俺ってみんなも知ってる通り一人暮らしじゃん?

まあ、犬飼ってるから一人ぼっちではないけどね。


やっぱ一人暮らしってなかなか大変なんだよね。というかめんどくさいって言う?

新聞の勧誘とか宗教の勧誘とかも全部自分で対応しなきゃならんからな。

宗教は厄介だぞ。頭のおかしい人が多いからな。

この前も来たんだけどさ、来てる服がすでにヤベェんだよ。おばちゃんだったんだけどね。

カラフルなマーブル模様の毛沢東が真ん中にドーン!とでっかくプリントされてるTシャツ着てんの。

お前の神は毛沢東かよ!って感じだよ。

俺の毛沢東への視線を感じたおばちゃんは

『コレはうちの宗教には関係ないですわっ。わたくしの趣味ですのっ。可愛いでしょ?』

って大爆笑しながら言うのよ。

コイツはヤベェって思ったね。

だから早く帰ってほしいからやんわり断ったんだよ。

そしたら

『いーえ。わたくしは帰りません。貴方の為に祈らせて下さい』

ってさ。

超厄介だよ!

セイッ!セイッ!セイッ!

って俺に向かって手ぇ突き出してくるんだよ。

エネルギー波でも飛び出してくるイメージか?なんて思ったけどご近所の目もあるから次は強めに帰ってくれるよう言ったんだよ。

そしたら

『貴方は悪魔に取り付かれている!』

とか言い出してまた

セイッ!セイッ!セイッ!

だよ。


ヤバイだろ?


おっと話がズレたな。

嬉しいことが起きたんだよ。


ある日…一ヶ月ぐらい前かな。

うちに訪問販売が来たんだよ。

めんどくせーな、いつもみたいに親はいないって言って帰ってもらおう。なんて思ってドア開けたらフツーに綺麗な人が立ってたんだよ。

歳は25ぐらいで背は160ぐらいかな。細いというかスタイルがよくて、特徴的な前髪パッツンの長い黒髪で切れ長の目をした綺麗なお姉さんだったんだよ。


いかにも社会人って感じのオーソドックスなスーツ着て、手に大きな紙袋持ってたから訪問販売だなってわかったんだけどさ、とにかく綺麗な人だったんだよ。

でもいつも通りすぐ帰ってもらったんだよ。買う気なんて全くないしアニメ見たかったからね。

帰ってもらったあと貰った名刺見たら俺が飼ってる犬と同じ名前だったんだよ。

面白い偶然だな〜なんて思っただけですぐそのことは忘れちゃったんだよね。



その一ヶ月後ぐらいだよ。まあ昨日のことなんだけどね。

例の訪問販売のお姉さんがまた来たんだよ。

再びすいません。みたいなこと言ってたからあっちも俺のこと覚えてたみたいだな。

そんで前回はすぐ帰ってくれたのに今回は粘るんだよ。超熱心に語ってくるんだよ。俺は洗剤なんていらねーよ!

でもまあ綺麗な人だったから俺も話を聞いてあげたんだよ。全く買う気はないんだけどね。

そんで玄関で話聞いてたら家の奥にいた犬が急にこっちに走って来たんだよ。

犬に向かって名前を呼んで叱ったんだけど訪問販売のお姉さんが驚いたような声をあげたんだよ。

そのとき犬とお姉さんが同じ名前だってことを思い出したんだよね俺。


『ペットに私の名前を付けたんですか?』

『え?』


俺は思わず聞き返したよ。

明らかに不審そうな、汚物でも見るような目で俺を見てくるんだもん。

お姉さんはなんかとんでもない勘違いしたようだった。


『なんでそんなことを?』


お姉さんは後ずさりしていった。

激しい被害妄想癖の持ち主だったんだよ。

俺が弁解しようとした瞬間、犬が開いてるドアから出てったんだよ。

凄い勢いで走ってったんだよ。

そんなに俺との生活が嫌だったのかよ。とショックを受けたよ。それほどに凄い勢いだったんだよ。


『私のせいで大事なペットが………!』


そんで自分のせいで犬が逃げたと思ったお姉さんと一緒に犬を捜しに行ったんだけどさ、ソッコーで見つかったんだよね。

よかったよ。

近所の公園にうろうろしてたんだよね。


そんでついでだからその公園で犬の名前についての誤解をといたんだよ。

超謝ってくれたよ。

俺は許すもなにも最初から怒ってなかったけどな。

そのあとは何故か二人でベンチ座っておしゃべりタイムだよ。

聞き上手な俺がお姉さんの話をずっと聞いてる形だったけどね。

ずっと会社の愚痴とか言うんだよ。高校生にだよ?

被害妄想癖がある上に頭もちょっと弱いのかな?

いや、純粋なだけか。なんて思ってたら


『何で君は友達でもなんでもない私みたいな奴の話を聞いてくれるんですか?こんなに真剣に』

『あなたこそ俺なんかに話してくれるんですか?』

『やっぱ欝陶しかったですか?』

『全然そんなことないです』


お姉さんの質問に対して、何でなんだろうか?と一瞬考えたわけよ。一瞬で十分だったね。すぐ答えは出た。



『一目惚れだからです』


『私もです』



そんなことが昨日あったんだよ。

被害妄想のちょっと激しい社会人のお姉さんが俺の彼女になったんだよ。

どうだ?うらやましいだろ?」




「お前も素晴らしい妄想家だな」

「高橋もスゲェ!」

「俺も一人暮らしするわ!」

「高橋は一人暮らしじゃないだろ」

「妄想内の彼女には名前を付けないのは決まりなのか?」



高橋もヤバイな。

町田に聞かせたかったな。



てか、俺の妄想彼女と年上ってとこ被ってんじゃんか!

妄想内彼女には名前を付けない………これは作者の中での絶対のルールです

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