第84話 エリンギとかシメジとか
「何で女子の体育に水泳がないんだ!ありえん!考えられん!」
体育の時間、更衣室で水着に着替えてるとき加藤が叫んだ。
「みんな何黙ってんだよ!俺に呆れてる?いや、俺はお前らの心の内を代弁してやったんだ!お前らだって思ってることだろ!」
うちの学校は男子にだけ体育に水泳の授業があり女子にはない。
確かに加藤にとっては許せない事だろう。大半の男子生徒も加藤と同じ憤りを感じているだろう。
しかし、俺は感謝している。
こんな性欲の塊みたいなゲスな野郎共に山崎さんの水着姿を見られなくてすむ。
山崎さんの体を、身体を、躯を、肉体を………俺以外の男に性の対象として見られるのは堪えられん。
酷い嫌悪感だ。軽く吐き気もする。
高橋は同じ水泳部員で山崎さんの水着姿も見えてるだろうが許している。
高橋の精神年齢は50歳ぐらいだから性欲も強くないからだ。
山崎さんに欲情することはまずない。
「しょうがないだろ、恥ずかしいからって女子が抗議して数年前に女子に水泳の授業は無くなったんだから」
「しょうがなくねぇよ!あぁもう、ホントにこの学校の女はクソばっかだよ!男子に見られる恥ずかしさ…その羞恥さえも快感に変えられるぐらいになれよ!」
無茶な!
「一人じゃ無理なら俺が直々に調教してやる!全校生徒は俺のところに来いや!最強の性奴隷集団を創ってやる!」
またクレイジーなことを…
「最低なこと言ってんじゃねぇよ。我慢しろ。とりあえず早く海パンを穿け」
俺はスッポンポンの加藤に言った。
「野田め…冷めたこと言いやがって。チクショウ…そうだよな、お前は山崎さんがいるからいいよな………」
「俺のことを妬む前に海パンを穿け。早くその立派過ぎるナニをしまいな。そのエリンギみたいなデカチンコを」
「………調子に乗りやがって…おいっ野郎共!貴様らは悔しくないのか!?…もう一度確認してほしい。野田は彼女持ちだぞ?しかもその彼女といえば………あの低身長ロリ顔巨乳の山崎香織だぞ!?貴様らはそんな野田が許せるのか!?」
加藤、何言ってやがる。
男子共に何を訴えてる。
「野田ぁ、俺は今からコイツらに呪文をかける。覚悟しやがれ………よく聞けぇ!野田は山崎さんのおっぱいの感触を知っている!」
なんてことを!
「「「なん…だと?」」」
更衣室にいる男子全員が引きつった顔で俺の方を見た。
「しかも顔に」
加藤はトドメをさした。
「野田を脱がせぇー!」
男共が暴徒と化したッッ!
「やめろー!」
俺は抵抗した。
「やめてくれえええ!」
必死で抵抗した。
「お願いだあああ!許してくれえええ!」
俺は必死で海パンを押さえた。これほど必死になるのには理由があった。
「やめろおおおおおおお!」
一人の力など無力だ。
俺は羽交い締めされとうとう海パンを引っぺがされた。
俺はこれから起こることを想像して、少し泣いた。
後ろで羽交い締めをされ前を隠すことも出来ず産まれたままの格好の俺。
そんな俺を見る加藤達…………
また涙が出た。
「なんか………ゴメンな」
俺を見て加藤は謝った。
意外だった。大声で笑われると思ってた。馬鹿にされると思ってた。
「ゴメンな」
「ごめん」
「俺も悪ノリしすぎたよ」
「今度何かおごってやるからな」
みんな謝ってくれた。
根はいい奴らなんだな。
俺はこんな奴らの優しさに触れてまた、少し泣いた。
「これだけは言っておく!仮性だからな!仮性だからな!」
泣きながら俺は言った。
「自力で剥いたんだな………だったらお前も一人前の男だ」
加藤の言葉が嬉しかった。
「そんなトコで男を判断する女なんていないよ!山崎さんは間違いなく大丈夫だよ!」
「自分に自信持てよ!」
「野田には山崎さんがいるじゃないか!」
ホントに優しい奴らだな………
まだ羽交い締めにされてるけど………
ガチャ
「あんたたち何やってるのよ!遅い!もう授業始まってますよ!」
唐突に土屋先生が入って来た。
そういや水泳の授業は土屋先生が担当だったな。
そういやまだ裸で羽交い締めにされてたな………
ヤバい!
俺は急いで羽交い締めを振りほどき手で前を隠した。
「…ちっさ」
土屋先生はそう呟いた。
間違いなくそう言った。
俺のナニを見て言った。
間違いなく見て言った。
俺は泣いた。
加藤達もみんな泣いてくれた。
「…プッ」
土屋先生は吹いた。
間違いなく笑ったんだ。
ポークピッツのような…赤ちゃんの小指の先のような…シメジのような………そしてほとんど無毛のチンコを精一杯隠しながら泣いた。
隣でフランスパンのようなチンコをぶら下げながら俺のことを同情してくれる加藤が少し憎らしかった。
人妻・土屋アイ…恐ろしい人だ。
女の子にはちょっとわかりづらい話だったかな…?作者も女子高生なのでよくわかりません………ッッ…